これ以上働いたら、手取りが減ってしまう。そんな「年収の壁」。特にパートやアルバイトをしている専業主婦(主夫)は意識していることでしょう。人手不足を助長していると、対策が叫ばれていいますが、もし「年収の壁」がなくなったら……アンケート調査では、多くが「もっと働く」と回答しています。そこにあるのは切実なサラリーマン世帯の懐事情がありました。みていきましょう。
あなたの給料では、とても…〈パート妻〉の本音に〈月収31万円のサラリーマン〉思わず陳謝「なんか申し訳ない」 (※写真はイメージです/PIXTA)

なぜ「もっと働きたいのか?」パート妻の回答は?

さらに前出のマイナビの調査を続けてみていくと、「年収の壁がなくなったら、現在よりもっと働きたい」と回答した人に、その理由を尋ねると、最も多かったのが「貯金をしたいから」で73.2%。「世帯年収を増やしたいから」67.4%、「自分で好きに使えるお金を増やしたいから」50.7%と続きます。また「老後を見据えた資産は十分か」を尋ねたところ、61.1%が「まったく足りない」と回答しています。

 

――あなたの給料では、とても足りないわ……

 

そう言われたことがあるかないかは人それぞれですが、妻がパートに出ているサラリーマン、妻はあなたの稼ぎに不安・不満を抱いているのは確実。そんな妻に、思わず「なんか、申し訳ありません」と謝ってしまいそうです。

 

厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマンの月収のちょうど真ん中=中央値は31.2万円。手取りにすると、夫婦と子ども1人で24.5万円ほど。ここから住宅ローンや家賃、子どもの教育費、光熱費や通信費などの固定費を払い、残ったお金でやりくりをする……余裕はなさそうです。

 

【年齢別「日本のサラリーマン(正社員)の月収」の中央値】

20代前半:21.6万円

20代後半:25.0万円

30代前半:28.2万円

30代後半:31.3万円

40代前半:33.9万円

40代後半:36.3万円

50代前半:38.3万円

50代後半:39.1万円

 

また厚生労働省『令和4年 国民生活基本調査』によると、児童のいる世帯の54.7%が「生活が苦しい(大変苦しいと、やや苦しいの合計)」と回答。また児童のいる世帯の1世帯当たりの平均貯蓄額は1,029万円ですが、一方で9.2%、10世帯に1世帯は「貯蓄なし」と回答。また貯蓄があっても、約15%は「200万円未満」。突発的に大きな出費が必要となった場合に対応できる状況にはないといえるでしょう。

 

賃上げ賃上げといわれているほど給料はあがらず、一方で物価高で実質給与減。家に帰れば夫の稼ぎに不安・不満をもつパート妻……サラリーマンとしてもやっていられませんが、夫婦である以上、家計運営は二人三脚。年収の壁がどうなるのか分かりませんが、夫婦、力を合わせて頑張っていくしかなさそうです。

 

[参考資料]

厚生労働省『年収の壁・支援強化パッケージ』

株式会社マイナビ『主婦のアルバイト調査(2023年)』

厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』

厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』