後継ぎがいないから…社長が会社の廃業を決めたら
後継者がいない……ということは、そのまま廃業になるという可能性があるということです。中小企業の試算では約650万人の雇用が失われるとしています。つまり650万人が失業するということです。
厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』によると、「従業員10~99人企業」に勤めるサラリーマン(平均年齢45.4歳)の平均給与は月収で31.4万円、年収で474.6万円。そんなサラリーマンが、ある日、社長からこんな話を聞くことになります。
――この会社、廃業することにしました
――えっ、うそ⁉ 何かの間違いでは
後継ぎが見つからない以上、いずれはこうなる運命です。会社廃業により、その会社で働くサラリーマンは、
①給与を得る手段がなくなる
②国民健康保険・国民年金へ切り替えなければならない
といった負担が生じます。一方で失業保険申請手続き後1週間の待機期間がすぎれば「失業状態」と認定されるため、すぐに失業保険を受給できます。失業保険の受給金額はおおよそ給与の6~7割程度。最低限の生活を保障するために支給されるので、課税対象にはなりません。受給日数は雇用保険の加入期間や受給時の年齢などで変わり、最短で90日、最長で330日です。また退職金の規定があれば、退職金も支払われるはずです。
廃業と聞けば、誰もがパニックになるはず。ただ廃業の場合は即日解雇ということはほぼありません。解雇告知の説明会などが行われ、廃業せざるを得ない理由をきちんと聞くことができ、再就職の援助も期待できることが多いでしょう。
いずれにせよ、中小企業の後継者不在による廃業は、今後は増えていくと考えられます。社長が高齢であるにも関わらず、次の経営者の姿がみえてこない……というのであれば、廃業のフラグが立っていると考えておいたほうがよさそうです。
[参考資料]
中小企業庁『中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題』
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