老後を迎えた「高齢者の不安」とは?
老後への漠然とした不安は誰もが持っているもの。では実際に老後に突入した高齢者は何に不安を抱いてくものなのでしょうか。
内閣府『高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査』(令和3年実施)によると、「日常生活における不安は?」の問いに対し、多かったのが「健康」や「介護」への不安。現役時代に不安に思う人が多い「老後のお金」については、3割程度です。
Q.あなたは、将来の自分の日常生活全般について、どのようなことに不安を感じますか?
・自分や配偶者の健康や病気:70.3%
・自分や配偶者が介護の必要な状態になること:60.3
・生活のための収入:31.9%
・子どもや孫の将来:29.7%
・家業、家屋、先祖のお墓等の管理や相続:22.8%
・頼れる人がいなくなり1人きりの暮らしになること:20.5%
出所:内閣府『令和3年 高齢者の健康に関する調査』より抜粋
では「介護」について、具体的にどのような不安をいだいているのか、内閣府『高齢者の健康に関する調査』(令和4年実施)でみていきましょう。「介護状態になると考えたときの不安点」を尋ねたところ、最も多かったのが「家族に負担をかけること」。また「介護状態」「経済的負担」に対して、不安が大きいことがわかります。
Q.将来、排せつ等の介護が必要な状態になると考えた時、何が不安ですか?
・家族に肉体的・精神的負担をかけること:65.6%
・身体の自由がきかなくなること:53.6%
・介護に要する経済的負担が大きいこと:40.0%
・人生の楽しみが感じられなくなること:29.8%
・費用が高いため、希望する介護施設等に入れないこと:29.4%
出所:内閣府『令和4年 高齢者の健康に関する調査』より抜粋
高齢者が抱く「健康」と「介護」の不安。その払拭のための選択肢として「老人ホーム」を選ぶ人が増えています。国土交通省の資料によると、要介護認定者690万人のうち、15%が居住系サービス、いわゆる老人ホームへの入居。また老人ホームの定員数の合計は220万床以上とされているので、自立(要支援・介護認定はされていない)の人も含めると、高齢者の5%近くが施設に入居していると考えられます。