平均賃金の改定率、3.2%と大きく上昇。そんな報道がされましたが、「えっ、給与なんて全然上がらないのだが……」と困惑するサラリーマンも多いようです。どうやら賃上げはまだ大企業中心で、中小企業では賃上げには至っていない、賃上げができないところも多く……さらに中小企業には課題が山積しています。その影響を受けるのも時間の問題のようです。
70歳社長「会社を廃業します」「えっ、うそ⁉」…月収31万円・45歳サラリーマン、突然の解雇の衝撃「何かの間違いでは」 (※写真はイメージです/PIXTA)

会社員「給与が低いと不満」も、どうしようもない現状

――仕事で悩んでいることはなんですか?

 

そう聞かれたら、何と答えますか? 株式会社ネクストレベルが社会人経験がある男女に聞いた『いま抱えている仕事の悩み』についてのアンケート調査によると、ダントツ1位は「給与が低い」で37.2%。続いて「社内の人間関係」が12.8%、「会社の将来性・安定性」8.8%、「やる気が出ない」が8.8%と続きました。

 

厚生労働省『令和5年 賃金引上げ等の実態に関する調査』によると、1人平均賃金を引き上げた/引き上げる企業の割合は89.1%と、前年85.7%から3ポイント強アップ。1人平均賃金の改定額は予定を含め、9,437円(前年5,534円)。1人平均賃金の改定率は3.2%と、前年1.9%から大きく上昇しています。

 

*「1人平均賃金の改定額」の「改定前 1人平均賃金」に対する割合

 

ただし、この調査は常用労働者100人以上の企業が対象。「世の中、賃上げと騒いでいるけどそんな実感がない!」という人も多いのではないでしょうか。賃上げの流れ、すべての中小企業にまで及んでいるかといえば、そうではないようです。

 

また、大企業を中心に賃上げの方向に進んでいるものの物価高はそれ以上で、実質賃金はマイナスを記録し続けています。厚生労働省『毎月勤労統計調査 令和5年9月分結果確報』によると、現金給与総額は27万7,700円(前年比0.6%増)、一般労働者に限ると36万1,736円(前年比1.2%増)。一方で実質賃金指数は前年比マイナス2.9%と、18ヵ月連続で前年比割れ。「給与は上がっても、モノが高くて……」という状況が続いています。

 

そんな状況ですから、会社の規模に関わらず「給与に不満」を抱く人が多いのも当然なのかもしれません。

 

一方で中小企業に関しては、課題が山積。特に深刻になっているのが、後継者不足です。中小企業庁によると、2025年までに、平均引退年齢となる70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、そのうち約半数の127万社、日本企業の実に3分の1の企業が後継者が未定だというのです。