医療保険は「元が取れない」どころか「ほぼ確実に損」
病気やケガで入院した場合に備えるのが医療保険。「入るべきか?入らざるべきか?」多くの人が悩みますが、結局ほとんどの人が加入しています。というのも、死亡することより、入院する可能性のほうが高そうですし、「老後に備えたい」と考えるからです。
ですが、保険はみんなで保険料を出し合う「助け合い」のしくみです。そもそも保険で元を取ろうと考えること自体に無理があるのですが、つい「入院することはありそうだから入っておこう」と考える方が多いことをとても残念に思います。
仮に2週間の入院をして、手術給付金との合計17万円を受け取っても、一生涯を通じて払う保険料の10分の1くらいにしかなりません。
35歳の男性が1日当たり5,000円、60日型の終身医療保険に加入したとしましょう。85歳まで保険料を支払うと平均的な保険の場合、138万円になります。
この138万円を取り返そうとすると、276日間入院する必要がありますが、60日型なので続けて入院しても一入院あたり60日が上限。それ以上はもらえません。60日の入院を4回すると120万円に達しますが、その可能性は極めて低いといわざるを得ません。しかも、入院したとしても、傷病手当金を受け取れるので、給料がゼロになることもありません。したがって、「保険に入ったつもりで貯蓄に回す」という選択肢のほうが有効かである可能性があります([図表2]参照)。
しつこいようですが、そもそも保険で医療費に備えることはできても、圧倒的に支払う保険料の方が高くなります。保険で損をしたくないと考えることは、「反対に損をする原因にもなるのだ」ということを覚えておきましょう。
社会保険や貯蓄を視野に入れて、保険料というコストと保障のバランスを考えてください。その上で保険の加入を検討しましょう。
横川 由理
FPエージェンシー代表
CFP®
MBA(会計&ファイナンス)
日本証券アナリスト協会 認定アナリスト
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