積み立て投資に期限を区切る必要なし
60歳からのNISAの活用法について考えてみましょう。投資といえば「長期の構え」が必要、という考え方が世の中に浸透しつつあります。
そうだとすると、もう60歳になってからだと遅いのではないか? 長期投資というけれど、いつまでやればいいのか? といった疑問を持つ人もいると思います。
そんな人に、私なりの答えをずばり言いましょう。
問い:長期投資というけれど、いつまでやればいいのですか?
答え:期限はありません。死ぬまでずっと続ければいいのです。
問い:それでは、いつ現金化すればいいのですか?
答え:お金が必要な時に、必要なだけ売って引き出せばいいのです。
いかがでしょう。あっけないほどシンプルな答えだと思いませんか。そもそも、積み立て投資に期間を区切る必要はありません。続けられる限り、ずっと続けていけばいいのです。
売ることについても、多くの人は「いつ売るのが一番いいのか?」ということばかり考えていますが、いつがベストの売り時なのか、すなわちいつが高値なのかなんて誰にも分かりません。だから答えは簡単で、お金が必要な時に必要なだけ売ればいいのです。
最近、資産の定率引き出し(残高の一定率を売却して定期的に受け取る)という方法も注目されています。
生活のために毎月お金が必要なのであれば、そういう引き出し方をすればいいでしょう。生活自体は年金や働いたお金で賄えるというのであれば、旅行や家の改築、クルマの購入といった少しまとまったお金が必要になった時に引き出せばいいだけのことです。
根拠のない老後不安は抱えないで
ちなみに私の夫は現在71歳ですが、60歳で会社を定年退職した頃から積み立て投資を始めて、現在も続けています。たまに夫婦で海外などに旅行へ出掛けますが、その際には積み立てている投資信託を売却して、そのお金を使っています。
相場の暴落があれば、その年は近場に1泊2日くらいの旅行に変更になることもあります(笑)。本人は90歳までに自分のお金は使い切ると言っていますが、それはたぶん無理で、いくらかは残ると思います。
別に無理して使い切る必要もありませんが、根拠のない老後の不安を抱えてお金を使わずじっとしているのもばかばかしい話です。
シニアにとってNISAは、そうした楽しみの原資となる資産を管理する器として活用するのが理想ですし、自然だと思います。
大江 加代
確定拠出年金アナリスト
株式会社 オフィス・リベルタス 代表取締役