(※画像はイメージです/PIXTA)

相続税の申告を済ませたあと、1、2年経ってからいきなり税務調査が入ることがあります。その場合、被相続人の生前に行われた「相続税対策」や、相続開始前後に相続人が行ったことが原因で、追徴課税を受けてしまうことがあります。そのような事態を避けるために、相続人がやってはいけないNG行動はどのようなものでしょうか。税理士の黒瀧泰介氏(税理士法人グランサーズ共同代表)が解説します。

NG行動3|「名義預金」について「生前贈与」を受けたことにする

NG行動の3つ目は、「名義預金」について、被相続人から生前贈与を受けたことにしてしまうことです。「名義預金」という言葉には聞き馴染みがないかもしれませんので、わかりやすく説明します。

 

みなさんは、子や孫の名前で銀行口座を開設し、そこに「将来のため」という名目で、お金をあげたつもりで一方的に入金したことはありませんか。

 

あるいは、子や孫がまだ幼いから、お金があることを知らせるのは教育上悪い、という理由で、子や孫の口座を作って一方的に入金し、知らせずにいるケースもあるかと思います。

 

子や孫の名義の通帳ですし、そこにある預金残高は「子や孫のもの」だから相続税の対象にはならない、とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、状況によってはいまだ贈与が成立していないため、被相続人の財産だと指摘される可能性があります。

 

この名義預金については税務調査では典型論点になっていて、そのため対策をしっかり立てる必要があります。

 

たとえば、預金名義人が被相続人の子だったとして、子が預金口座の存在を知らなかった、通帳に出金の記録がまったくない、子が通帳も銀行印もキャッシュカードも持っていない、子の家や職場から離れた銀行の支店が使われている、などの状況が重なってくると税務調査において贈与契約が成立していないと認定される可能性が高くなります。

 

ある税務調査では、税務署が調べたところでは、子どもたち名義の口座を開設したときの書類の筆跡がすべて被相続人であり、使用していた銀行印も被相続人のものでした。

 

質問を受けた子どもたちは回答に困り、その預金の存在を知らなかったことが指摘されました。結果的に双方の合意が認められなかったものでした。

 

もし、相続財産を確認しているときにこういった名義預金が発見されたら、生前贈与は成立していないので、相続財産と扱って申告手続きをするしかありません。

 

もし、生前贈与が成立したことにしてしまうと、相続税の申告漏れということで追徴課税されてしまうことがあります。

 

それを避けたいのならば、被相続人の生前から対策をしっかりしていきましょう。

 

対策としては、お互いの贈与をしっかり認識するためにも、当事者間の贈与契約締結が必要になります。贈与契約は「あげます」「もらいます」の意思の合致が必要なので、契約書を作成しておくことをおすすめします。

 

贈与契約書のフォーマットはインターネットで雛形が多数ありますので、ご自身の状況に合ったものを選び、作成してください。

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。