相続税の税務調査は忘れた頃に突然やってくる
相続税は、相続が発生してから10ヵ月以内に申告納税しなければなりません。
10ヵ月というと一般的には長期間に感じるかもしれませんが、実は相続税の実務の現場においては意外に短く、しかも大変です。相続税の申告が終了すると、「ようやくお父さんの相続が終わった」などと安堵の声もよく聞きます。
そして、相続が一段落してから1、2年後ぐらいに、突然税務署から税務調査の連絡がくることがあります。事業者ではない一般の方が税務調査を受けることはほとんどありませんので、「ちゃんと回答や対応できるかな」「追徴取られるのか」など不安が尽きないと思います。
そこで本記事では、税務調査で無用な心配を抱かずに済むように、相続人がやりがちなNG行動を5つ厳選して紹介し、税務調査を意識した相続税対策について解説します。
NG行動1|税務調査官に嘘をつく
1つ目のNG行動は、税務調査官からの質問に対して、辻褄合わせの嘘をつくことです。辻褄合わせの嘘はたいてい後に矛盾が生じます。もし事実を仮想隠蔽した場合は「重加算税」という重いペナルティが発生します。
たとえば、調査官が「他に金融機関口座はありませんか?」と聞かれた場合に、金融機関口座の存在を認識していながら「ありません」と回答することがあります。
しかし、後で口座の存在を認識していたことを根拠とともに指摘された場合は、隠蔽したということで重加算税を指摘される可能性があります。
もちろん、税務調査自体が非日常であり、パニックになってうまく回答できないこともあるでしょう。また、調査官の質問について余計なことをいう必要はありません。
しかし、決して嘘をつかないでください。後々ペナルティが重くなります。
回答に困る質問の場合、嘘でその場しのぎをするのではなく、「確認してから回答します」で問題ありません。
NG行動2|被相続人が亡くなる前後のタイミングで金融機関口座から出金する
2つ目のNG行動は、被相続人が亡くなる直前・直後のタイミングで金融機関の口座から出金することです。
いざ、被相続人が亡くなりそうな瞬間に出くわすと、病院代や亡くなった後の葬式代等の心配が、残されるご家族の頭をよぎります。
そこで金融機関口座が凍結されていないうちにまとまったお金をATM等からおろすことがあります。しかし、これは基本的にNGです。
相続税の対象となる財産は、基本的には亡くなった日の預貯金の残高で計算するのですが、生前のうちに口座からおろしたお金で手元に残っている分も相続税の対象になります。この手元現金がよく申告漏れとして指摘されやすいのです。
やむを得ず出金したお金については、ぜひ、管理簿を作成し、資金使途のメモと残高を計算できるように管理するようにしてください。
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