(※画像はイメージです/PIXTA)

相続税の申告を済ませたあと、1、2年経ってからいきなり税務調査が入ることがあります。その場合、被相続人の生前に行われた「相続税対策」や、相続開始前後に相続人が行ったことが原因で、追徴課税を受けてしまうことがあります。そのような事態を避けるために、相続人がやってはいけないNG行動はどのようなものでしょうか。税理士の黒瀧泰介氏(税理士法人グランサーズ共同代表)が解説します。

NG行動4|貸金庫の中に宝飾品などを隠す

被相続人が金融機関と貸金庫契約をしているかは事前に把握することが望ましいです。

 

貸金庫の中には宝飾品、不動産の権利書、その他通帳など財産価値があるものが保管されていることがあります。

 

貸金庫から現金や金、宝飾品などが見つかると調査官はすぐに申告漏れを指摘するので注意が必要です。

 

なお、貸金庫を利用しているかどうかは金融機関の記録や口座からの利用料引き落とし状況で調査官は把握しています。隠しても相続税の対象から外すことはできませんので、貸金庫を利用している人は正直に伝えることをおすすめします。

NG行動5|賃貸不動産が長い間「空室」なのに賃貸割合を100%で計算してしまう

相続した土地に一棟アパートなどの賃貸不動産が建っている場合、その土地は「貸家建付地」、建物は「貸家」として、それぞれ相続税の評価減を受けることができます。

 

そして、賃貸割合は相続税評価において登場する計算要素です。

 

すなわち、土地(貸家建付地)と建物(貸家)の相続税の評価額は以下の通りです。

 

【土地(貸家建付地)】

自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

 

【建物(貸家)】

固定資産税評価額×(1-固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合)

 

土地の「自用地価額」とは、賃貸しなかった場合の土地の評価額です。「路線価」等です。

 

「賃貸割合」とは、被相続人が亡くなったタイミングで実際に賃貸されている貸家の割合を言います。満室の場合は100%となり、半分しか埋まっていない場合は50%となります。

 

満室になっていると相続税が軽減され、空室が多いと軽減具合が小さくなるので不利になります。そのため、被相続人が亡くなった場合において賃貸割合100%として計算してしまう事例があります。

 

空室期間の目安は、相続開始前後1カ月程度になります。したがって、空室期間が1ヶ月程度を超える場合には、正直に空室と認識して賃貸割合を計算することをおすすめします。

 

なお、一時的に空室になっている場合にその居室が埋まっていると申告することが認められるケースがあります。

 

これまで継続的に賃貸に供されてきたこと、賃借人の退去後すぐに賃借人を募集し、空室の期間中に別の用途で使用していないこと等を条件に一時的な空室とみなされることになります。

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。