(※写真はイメージです/PIXTA)

iDeCoやNISAが浸透し、投資は多くの人にとって馴染みのあるものとなりました。まとまったお金の運用として、退職金をなにかしらの金融商品で運用する人も増えています。本記事ではFP相談ねっとの小川洋平氏が、一般の人よりも金融知識に詳しいはずの元地銀支店長の佐野さん(65歳/仮名)の事例とともに、投資を始める前に必ず知っておくべきことについて解説します。

投資を始めるなら、まずは基本の理解から

大事な生活資金を運用する際に今回の佐野さんのような判断をしてしまうケースも多々見受けられます。「1年のあいだにそんなに価格は変わらないだろう」などと投資のリスクを安易に考え過小評価してしまうことは危険なことです。

 

NISAの制度拡充もあり、これまで投資に消極的だった私達日本人も投資が少しずつ一般的になっています。一般社団法人投資信託協会が行った『60歳代以上の投資信託等に関するアンケート調査(2021年(令和3年)』によると、退職金で株式、投資信託を購入している人がどちらも6割程度という結果が出ています。

 

しかし、しっかり基本を理解して始めないと佐野さんのように大きな損失を被ってしまい、大事な老後の資金を大幅に減らしてしまうことになってしまいます。

 

老後の資金など、今後の人生で必要になると思われるお金を運用する基本は長期分散投資であり、金融庁が公式に投資の基本としてWEBページ上で伝えていますので、こういった考え方をしっかり理解しておくことが大事です。

 

また、60代で金融資産2,000万円程度の場合、その約65%は預貯金で保有しているというデータがありますが、佐野さんの場合は預貯金は退職金受取時で大体10%程度と預貯金の占めるウェイトは平均と比べ著しく低かったといえます。

 

今後の資金計画をしっかり考え、そのうえで運用するのでしたら問題はありませんが、佐野さんの人生の資金計画が甘く、仕組債のリスクを軽く考え運用の基本を守らずにいたためにこのようなことになってしまったといえます。

 

適切な金融商品を選ぶためには、まず人生の資金計画を考え、自身が許容できるリスクをまずはじめに理解しておきましょう。

 

 

小川 洋平

FP相談ねっと

FP

 

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