(※写真はイメージです/PIXTA)

iDeCoやNISAが浸透し、投資は多くの人にとって馴染みのあるものとなりました。まとまったお金の運用として、退職金をなにかしらの金融商品で運用する人も増えています。本記事ではFP相談ねっとの小川洋平氏が、一般の人よりも金融知識に詳しいはずの元地銀支店長の佐野さん(65歳/仮名)の事例とともに、投資を始める前に必ず知っておくべきことについて解説します。

佐野さんが投資に失敗したワケ

佐野さんの問題は仕組債のリスク、つまりは対象となる株式のリスクを甘くみていたことにあります。

 

仕組債は債券でありながら高いリターンを得ることができる金融商品で、株式とは異なり大きな下落が無ければ債券投資と同様に安定的にリターンを得ることができます。しかし、個別株の株価は大きく変動することが多々あり、比較的株価が安定している大企業であっても1年で1/3、1/4になることも珍しくはありません。

 

佐野さんが選んだ銘柄は、数年のあいだは大きく値下がりするようなことはなかったのですが、佐野さんが購入したあとに運悪く大きく価格が下がってしまったのでした。

 

佐野さんのようにノックイン価格を下回ったことにより損失が発生してしまった事例は多数あり、金融機関の担当者がシニアの顧客に対し、理解が不足したまま販売していたことで一時問題になりました。佐野さんのように仕組みを理解しながらもリスクを甘く見て判断してしまったことで大きな損失を出してしまうこともあります。佐野さんは、リスクの軽視により、退職金を大きく失う結果となってしまったのでした。

 

資産運用の基本は「長期分散投資」です。投資のリスクは仕組債とは異なり、価格は日々変動しますが、国内外の複数の株式、債券投資信託等に分散して投資することで値動きを抑え、過去の実績からは長期的に年利3%~5%程度の利回りを狙っていける見込みがあります。

 

短期的に高いリターンを求めるのではなく、自分が許容できるリスクの範囲を決めて株式や債券などの投資信託を組み合わせ、長期的に許容できるリスクに見合ったリターンを狙うことが重要です。

 

今回の佐野さんの投資の問題点は、「そんなに大きくは変動しないだろう」と考え、株式に転換される可能性を軽視してしまい判断してしまったことにあります。

 

その状態で貴重な老後の資金はもともとあった預貯金と合計しても1,200万円を程度となり、ゆとりを持った早期リタイア生活を送る計画は崩れ今後の生活費に不安を抱えるようになったのでした。

 

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