就職氷河期が最も過酷だった2000年。大学卒業しても5人に1人が就職も進学も出来なかった……そんな時代。「就職を諦めて進学しよう」というのも一つの選択肢でした。その作戦が功を奏した人もいれば、最悪の結果となった人も。みていきましょう。
大学院までいって「年収200万円以下」「貯金ゼロ」の絶望…氷河期世代・46歳男性「時代を呪うことも」 (※写真はイメージです/PIXTA)

大学院卒で「年収200万円未満」の衝撃

時は流れ2023年。大学院・修士課程修了で就職活動失敗、非正規として社会人になるという屈辱を味わってから20年あまり。2005年あたりに景気は回復。このタイミングで、正社員になった人は命拾いしたかもしれません。2008年にはリーマン・ショックが起こり、世界的な不況に。再び就職の厳しい時代に突入し、その傾向は2012年あたりまで続きます。

 

この時点で大学院を修了して10年あまり。その間、一回も正社員になれなかった人はかなりの厳しさ。大学院を修了した時点で「年齢を重ねていること」が不利に働いていたのに、さらに年を重ね、30代も半ばになって正社員としての経験もゼロとなると絶望的だといえるでしょう。

 

――大学院を卒業したのに、年収200万円以下(笑)

 

と自虐的な投稿をする46歳の男性。まさに氷河期世代のなかでも一番過酷だったころに「大学卒業」→「大学院進学」という道を辿りました。しかし前述の通り、2年では状況はさほど変わらず、男性も修士課程修了後はフリーターとして職を転々としたといいます。現在は、非常勤講師としていくつかの学校を掛け持ちし、月収15万円程度。もちろん賞与はほぼないので、年収は月収の12倍だといいます。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、40代後半・非正規社員の月収の中央値は19.9万円。下位25%で17.2万円、下位10%で15.0万円。つまり男性は非正規社員の中でも、下位10%……給与をお題に思わず自虐に走るのも納得です。

 

――給与を愚痴ると「自分の責任」とブーメランが飛んでくる。時代のせいと呪うこともできない

――そろそろちゃんとしないとと思うけど、大学院卒のプライドが邪魔……

――50代を前に貯金もゼロ。借金がないのが唯一の救い

 

男性の投稿からは、なんとも切ない言葉が並びます。

 

もし今後正社員を目指すなら。40代後半・正社員経験なしだと、どんな職業でもハードルは高めだということを心しておく必要があります。

 

そのうえで、人材難の業種は狙い目。2024年問題で揺れる物流業界や高齢化問題が加速する介護業界、インバウンド需要がコロナ禍前に迫る飲食業・宿泊業などは、未経験でも積極的に採用をしています。ただし、これらの業種は平均給与も低め。厚生労働省によると、正社員・40代後半男性の平均月収は39.5万円。それに対し、物流業界(運輸業、郵便業)の平均月収は32.5万円、介護業界(社会保険・社会福祉・介護事業)は32.3万円、飲食・宿泊業は33.4万円と、いずれも平均を大きく下回ります。

 

それでも現状より倍近くの月収となり、生活も断然上向くはず。色々見渡せば、浮上のチャンスはまだまだ転がっています。