大変なこと、苦しいこと、悔しいこと、色々とあるサラリーマン。「定年後は悠々自適な生活を」と信じて頑張っているでしょう。しかし定年後に多くの人に待っているのは「地獄のような生活」です。定年を間近に控えたサラリーマンたちの実情をみていきましょう。
年金月17万円、退職金2,000万円、貯蓄1,800万円…59歳サラリーマンが直面する「定年リタイア」という地獄 (※写真はイメージです/PIXTA)

60歳で定年退職…何をしたいですか? 何をするつもりですか?

――定年退職したらどうしますか?

 

そう聞かれたら、何と答えますか?

 

――仕事をやめて、まずは夫婦で旅行でもいこうか

――趣味に時間を使いたいね

 

そんなふうに「定年後は悠々自適な生活を送るつもりですよ」と答えたいものですが、実際は少数派。定年退職を迎えてもほとんどの人が「働き続ける」と回答しています。

 

介護資格学校「日本総合福祉アカデミー」の教室を運営する株式会社ガネットが行った『「定年後の働き方」に関する意識調査』によると、定年退職間近なサラリーマンの70.5%が「定年後も働きたい」と回答し、「継続雇用制度の利用意向」は88.9%に達しました。

 

「定年」→「再就職」という手もありますが。6割が「定年前と同じ仕事をしたい」と回答。定年前に新たな世界への挑戦、ということには不安を感じ、できれば現状維持が好ましいと考える傾向が強いようです。

 

社会人になってからは、楽しかった思い出よりも苦しかったこと、大変だったことのほうが多かっただろうに……なぜ定年後も働きたいと考えるのでしょうか。その理由を尋ねると「老後の生活資金が不安」が圧倒的に多く、91.8%。「社会とのつながりが絶たれることへの不安」が34.6%、「生きがいを見失ってしまうことへの不安」が23.3%と続きますが、やはり不安の正体は圧倒的に「お金」。老後生活を送るための資金を考えてのことです。

 

老後の生活資金は大きく3つあります。まずは「年金」。厚生労働省『令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金受給者の平均年金額は併給の国民年金と合わせて月14万5,665円。65歳以上に限定すると、男性で16万9,006円、女性で10万9,261円。平均的な夫婦共働き世帯であれば月28万円程度、専業主婦世帯であれば月23万円程度の年金となります。これは額面で、手取りは85〜90%程度です。

 

老後の生活資金の2つ目が「貯蓄」。総務省『家計調査 貯蓄・負債編』(2022年平均)によると、現役世帯(59歳までの勤労世帯)の平均貯蓄額は1,319万円、負債額は1,059万円。また定年直前の50代世帯に限ると平均貯蓄額は1,800万円、負債額は608万円です。すべての負債を完済してしまっても、1,200万円ほどの貯蓄が残るというのが、定年前世帯の平均的な貯蓄額です。

 

老後の生活資金の3つ目が「退職金」。勤務先によって事情は異なるものの、日本企業の場合8割は退職金制度があるといいます。厚生労働省『令和4年就労条件総合調査』によると、定年退職金の平均は「大学・大学院卒」で1,896万円、「高卒」で1,682万円。さらに大学・大学院卒について勤続年数別にみていくと、「勤続20~24年」で1,021万円、「勤続25~29年」で1,559万円、「30~34年」で1,891万円、「35年以上」で2,037万円です。