60歳定年がスタンダードになっているなか、再雇用され同じ会社で働き続けることもスタンダードになっています。しかし、そこにあるのは「定年退職後の社員」と「現役社員」が一緒に働くことの難しさ。ときに衝突が起きることもあるようです。
月収49万円・48歳のサラリーマン課長「いつまで上司づらしてんだよ」と憤慨…月収28万円・60代「定年再雇用組」の暴走 (※写真はイメージです/PIXTA)

60歳「定年退職」→「再雇用」で給与は3~4割減…それでも大喜びのワケ

厚生労働省『令和4年就労条件総合調査』によると、定年制を定めている企業は94.4%。そのうち96.9%が一律定年制で、さらに60歳定年としている企業は72.3%。つまり日本の企業の6割強が「60歳定年」だということになります。

 

さらに一律定年制を定めている企業のうち94.2%が、勤務延長制度や再雇用制度など、希望すれば働き続けられる環境を整えています。つまり現状、日本企業の85%は「定年後も働き続けらえる」ということになります。

 

何歳まで働きたいと考えているかは人それぞれですが、65歳をひとつの区切りとして考えているケースが多いようです。60~65歳は年金待期期間。国民年金保険料の納付は20~60歳までで、支給は原則65歳。この間、給与収入がなければ基本的に「無収入」の状態になります。

 

40年近くも「給与収入がある生活」から、一気に「収入が一切ない生活」に切り替わるのは不安でしかありません。その無収入の期間を埋めるためにも「働きたい!」と考える人が増えています。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、50代後半のサラリーマン(正社員)の平均給与は、月収で43.1万円、年収で701.6万円。このまま正社員で働き続けることができたら。60代前半サラリーマン(正社員)の平均給与は、月収で35.0万円、年収で537.2万円。60歳定年を境に2〜3割ほど給与減となります。

 

一方で現在、定年退職以降は、契約社員や嘱託社員など、非正規社員として再雇用されるケースが主流。60代サラリーマン(非正規社員)の平均給与は、月収で28.3万円、年収で428.0万円。定年前の正社員時代に比べて3~4割ほどの給与減となります。

 

とはいえ、収入ゼロか、月収28万円かと問われたなら、後者を選ぶ人が多いでしょう。しかも働き慣れた会社にそのままいられたら、ストレスもそれほど感じないはず。むしろ「自分の経験を後輩社員に還元しなければ!」とやる気満々になる定年退職者も珍しくはないでしょう。