法人の倒産件数は増加傾向に…貸倒リスクを回避する対策を
そして保険契約から2ヵ月後、A社が振出した手形が決済される直前にA社は会社更生法の申請手続きへ。X社長の不安は的中した形になりました。万全の手配をしていたとはいえ、筆者に電話をかけてきたX社長はかなり不安な様子でした。
筆者は「とりあえず落ち着いて保険金請求手続きを行いましょう」と伝え、保険金請求手続きに入ります。
実際にB損保から保険金が支払われるまでは1ヵ月半近くの期間を要しましたが、X社長から「約1,000万円が法人口座へ着金した」と連絡を受けたときは、筆者もかなりホッとしたことを覚えています。
保険金受取後にX社長を訪問して打ち合せをすると、当初に打ち合せをした生命保険については、契約を解約せずに積立金を活用する選択をしたとのこと。生命保険の補償はなくさずに積立金を資金繰りに充当できたため、最小のダメージで切り抜けられたようです。
新型コロナウィルス感染症の拡大時、企業への支援策として行われた無担保・無保証のいわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が始まったのを受け、最近は企業の倒産件数が増加傾向にあります。
取引先が倒産して売掛債権の回収不能が発生すると、法人は大きなダメージを受けますから、貸倒リスクを回避・減少するための方法を検討しておかなければならない時期がきているのかもしれません。
今回紹介した「取引信用保険」は、売掛債権の保全策の1つではありますが、当然ながら万能ではありません。ほかの金融商品の活用や内部留保の蓄積など、取引先の倒産に対して被害を最小限に食い止める対策を検討しておきたいところです。
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