(贈り物をもらったときなどに)「そんな気をつかってくれなくてもよかったのに」
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【日本人が言いがちな英語】
「Thank you for your kindness.」
→間違ってはいないけれど、時と場合によってはぎこちなく、使い方によっては場違いに感じられる。
【ネイティブ流イングリッシュ】
「You shouldn’t have.」
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贈り物をもらったときによく使う表現ですが、一見して、何を伝えようとしているのかわからないという読者もいらっしゃるのではないでしょうか。
じつはこれ、shouldn’t have + 過去分詞(~すべきではなかったのに)の過去分詞が省略された文なのです。
◆You shouldn’t have bothered.(そんな気をつかってくれなくてもよかったのに)
*bother「(あれこれ)気をつかう/気にかける」
◆You shouldn’t have gone to all that trouble.
=You shouldn’t have gone to so much trouble.(ずいぶんお手間をとらせてしまいましたね)
*go to all that trouble「いろいろと手間をかける」
〈You shouldn’t have.〉は、これらの文の過去分詞以下が省略されて短くなったものだったのです。まったく予期していなかったので戸惑いがあるがうれしい、というニュアンスを感じとってください。
日本人も感謝と軽い戸惑いをあらわして、以下のように言うことがありますね。
「わざわざご丁寧に(すみません)」
「そんなことしてくれなくてもいいのに」
「かえって悪いわね」
そうした表現にあたるのが、〈You shouldn’t have.〉という表現なのです。
発音に気をつけてください。〈shouldn’t have〉の部分は、〔シュドゥント・ハヴ〕と1語1語切って発音するのではなく、まとめて〔シュドゥンタヴ〕のように読みます。
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A:Here.(これ)
B:What is it?(何これ?)
A:I bought this in France for you.(フランスのおみやげ)
B:Oh, my gosh! Real Champagne! Oh, you shouldn’t have! Thanks so much.(わぁ、びっくり! 本物のシャンパンね! こんなことしてくれなくてもよかったのに! どうもありがとう)
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この〈You shouldn’t have.〉は、まさか大好きなフランス産のシャンパンを持ってきてくれるとは思ってもいなかったので、驚いているがたいへんうれしい、というニュアンスで用いられています。
「どっちでもいいです」もほぼ3語でスッと伝わる
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【日本人が言いがちな英語】
Whatever you want would be great.
→間違ってはいないけれど、時と場合によってはぎこちなく、使い方によっては場違いに感じられる。
【ネイティブ流イングリッシュ】
I’m easy(to please).
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素敵な恋人ができました。その彼(彼女)に、Would youlike Italian or sushi for dinner?(夕食はイタリアンとお鮨、どっちがいい?)と聞かれました。あなたは彼(彼女)と一緒にいられるならどちらでもいい。そこで、こう言います。
◆Whatever you want would be great.(あなたが望むものならなんでもうれしいです)
はっきり言って、堅苦しく、他人行儀っぽく聞こえます。そこで私の学生たち(大学生と予備校生)に聞いてみると、意外にも、以下の答えが多かったのです。
◆I’ll leave it up to you.(お任せします)
*leave A( up) to B「AをBに任せる/AをBに委ねる」
◆It’s up to you to decide.(あなたが決めて)
*It’s up to you to ...「…はあなたしだいだ」
いずれも大学受験期に習うイディオムです。OKです。いずれも自然な表現です。しかし、いまからここで取りあげようとするフレーズを使った人はひとりもいないのが残念でした。
こんなときネイティブならどう応じるでしょうか。
◆I’m easy.(どっちでもいいよ)
このように言うのが、フランクでオシャレ。
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A:I hope you like this new egg recipe.(この新しい卵料理、気に入ってくれるといいんだけど)
B:Don’t worry. I’m easy.(心配ご無用。僕はうるさくないから)
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とはいえ、この表現は学生たちにとって納得がゆきかねるようでした。聞けば、「“easy”という単語は人を主語にして用いることはない」と学校で教わったとか。
〈I’m easy.〉は〈I’m easy to please.〉を短くしたもので、つまり「私を喜ばせるのは簡単/自分にはこだわりがない」(=It’s easy to please me.〉の意味なのです。
注意してほしいのは、異なった文脈で〈I’m easy.〉や〈She’s easy.〉とだけ言うと、「尻軽女だ/ふしだらだ/身持ちの悪い女だ」を含意してしまう点です。
またしても、「とはいえ」なのですが、これがだんだん親しくなってくると、なれなれしさも度を増してくるようです。
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A:Italian or Chinese?(イタリアン、それとも中華?)
B:Whatever.(なんでもいいよ)
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言い方にもよりますが、〈Whatever.〉とだけ言うと、「どうでもいい/なんでもいい/興味ない」といった投げやりなニュアンスが色濃く出てしまいますのでご注意を。
キャサリン・A・クラフト〈Kathryn A. Craft〉
アメリカ・ミシガン州で生まれ、オハイオ州で育つ。ボーリング・グリーン州立大卒。1985年、南山大学の交換留学生として来日。現在、オンラインマガジン『ET PEOPLE!』を発行するかたわら、通訳、翻訳家、英語講師としても活躍。
主な著書に『日本人が言えそうで言えない英語表現650』(青春出版社)、『朝から晩までつぶやく英語表現200』『そのまま仕事で使える英語表現189』(いずれもちくま新書)などがある。
里中 哲彦
河合塾教育研究開発本部研究員。著書に『そもそも英語ってなに?』(現代書館)、『英語ミステイクの底力』(プレイス)、『英文法の魅力』(中公新書)など多数。
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