(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの金融資産を抱えて現役をリタイアすることができても、老後に破産するケースは決して少なくありません。なかには、当人たちだけの問題ではなく、家族の影響によって老後破産に陥ることも……。本記事では、元パチンコ店経営者の田村さん(仮名)の事例とともに、富裕層の意外な老後破産の原因についてFPの小川洋平氏が解説します。

田村家の問題点

1.子供のころにつけてしまった浪費癖

今回の田村さんの問題点は、息子である健太さんの浪費癖を許してしまっていたことにあります。子供のころから欲しいものを買い与えているとお金を管理する感覚が育たずに欲しいものを我慢する、欲求を自制できない人間に育ちやすくなってしまいます。健太さんが結婚している身でありながら、キャバクラ通いや不倫をやめることができなかったことも、幼少期のころからの癖が大きく影響していると考えられます。

 

2.大人になってからの借金の肩代わり

そして、大人になってからも田村さんがことあるごとに健太さんの借金の後始末をしてしまったことも問題です。仮に浪費癖が原因で大きな借金を作っても、どうやってそれを返済すればいいのかを自分で考えて行動しなければなりません。仮に自己破産することになったとしても、それもひとつの経験です。

 

失敗してもその辛い経験を教訓に、二度と同じことを繰り返さないようにしようと学ぶことも大事なことです。そこで親が手を差し伸べてしまうと、失敗から学ぶことが少なく、また同じことを繰り返してしまいやすいのです。

 

支出に優先順位をつけ、限られた収入の範囲で生活していくこともとても大切なことです。支出のコントロールができない、衝動を抑えることができないとお金のことで失敗してしまうだけでなく対人関係や職場、ビジネスにおいても失敗してしまいがちです。

 

経済的にゆとりがあるとついつい支出も多くなりがちですが、いざ収入が減ってしまった場合などにも支出をコントロールすることができず、家計を破綻させてしまうケースもあります。そのため、お金に余裕があっても早い段階でしっかりお金と向き合い、お金の優先順位をつけること、管理することの大切さを知ってもらうことが必要なのです。

お金の出入りを見える化する重要性

今回の田村さんのように、裕福な生活を送っていても子供の浪費癖、幼少期からお金の管理を教えてこなかったことにより経済的な不安を抱える家庭もあります。家計においても事業においても、多重債務に陥ったり経営破綻の危機となったりするケースの多くが、お金の出入りを見える化ができていないという状況があります。

 

田村さんのケースでも、早期に息子である健太さんに浪費癖を把握し、適切な対処ができていれば問題が大きくなる前に適切な対処をすることができた可能性があります。しかし、なにが問題なのか状況を理解できず、自分でなにをしたらいいかを考えることができなかったために、事態が悪化してしまったのでしょう。

 

いかに経済的に余裕があっても、幼少期からお金の管理を教えること、支出をコントロールすることを習慣づけることが大切で、それがお金に困らずに幸せに生活していくことに繋がるのです。

 

 

小川 洋平

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