大変なことも、苦しいこともたくさんあったけど、サラリーマンとしてのゴールテープを切ったときに手にする「定年退職金」。老後の生活や住宅ローンの返済であてにしている人も多いでしょう。しかし、そのような目論見は、持っているだけ悲劇を生むかもしれません。みていきましょう。
平均1,900万円だったが…〈月収41万円・40歳の大卒サラリーマン〉20年後に「老後資金が足りない!」と絶叫する〈衝撃の退職金額〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

老後の心配は「健康」よりも、やっぱり「お金」

老後の生活、不安ですか?

 

そう尋ねられたら、どう答えますか。「不安なんて、1ミリもない」といってみたいものですが、なかなか難しそうです。

 

公益財団法人生命保険文化センター『2022年度 生活保障に関する調査』で「老後生活に対する不安を有無」を尋ねたところ、82.2%が「不安感あり」と回答。男女別にみると、男性78.5%、女性85.1%が「不安感あり」と答えています。

 

不安の理由のベスト10は以下の通り。年を取ると、どうしても高まる健康不安。しかしそれにまつわるものは2位の「日常生活に支障が出る」だけで、ほかのほとんどは「お金」にまつわるものです。

 

【「老後生活の不安の理由」ベスト10】

1位「公的年金だけでは不十分」79.4%

2位「日常生活に支障が出る」57.3%

3位「自助努力による準備が不足する」36.3%

4位「退職金や企業年金だけでは不十分」31.4%

5位「仕事が確保できない」29.2%

6位「配偶者に先立たれた経済的に苦しくなる」21.0%

7位「貯蓄等の準備資金が目減りする」21.0%

8位「子どもからの援助が期待できない」13.6%

9位「利息・配当収入が期待通りにならない」11.0%

10位「住居が確保できない」5.4%

 

出所:公益財団法人生命保険文化センター『2022年度 生活保障に関する調査』

 

老後の資金として頼りにしていたのに、目論見が外れた(外れそう)という、どこか怨念めいたものを感じる、このランキング。このなかから4位「退職金」について、注目してみます。

 

そもそも退職金は法律で定められたものではないので、退職金制度の有無は企業の自由。厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、「退職給付制度がある」企業の割合は74.9%。4社に1社は「退職金がない会社」です。

 

企業規模別にみていくと、「従業員1,000人以上企業」で90.1%、「300~999人企業」で88.8%、「100~299人企業」で84.7%、「30~99人企業」で70.1%。企業規模が大きいほど、退職金制度の充実がみられます。

 

また業種別にみていくと、「鉱業、採石業、砂利採取業」「電気・ガス・熱供給・水道業」「金融業、保険」「複合サービス事業」は「退職給付制度あり」が9割を超えているのに対し、「情報通信業」「運輸業、郵便業」「不動産業、物品賃貸業」「生活関連サービス業、娯楽業」「医療、福祉」は6~7割、さらに「宿泊業、飲食サービス業」は4割と、業種間で大きな差が生じています。