定年退職金、20年で25%減少
厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、60歳定年前、59歳の大卒サラリーマン(正社員)の平均給与は、月収で50.6万円、年収で837.2万円。定年退職を迎えたら、そのまま雇用形態を変えつつも働き続ける人は7割、仕事を辞める人は3割といわれていますが、どちらにせよ、(退職金制度があるなら)退職金を手にすることができます。
退職金は、いったいいくらなのかというと、大学・大学院卒で1,896万円、高卒で1,682万円。さらに大学・大学院卒について勤続年数別にみていくと、「勤続20~24年」で1,021万円、「勤続25~29年」で1,559万円、「30~34年」で1,891万円、「35年以上」で2,037万円。大学卒業後に就職した会社に尽くしてきた人であれば、「退職金2,000万円超」が叶いそうです。
ーー退職金、平均で1,900万円かぁ
この数字を基準に資産形成を進めていったり、ローンの返済プランを考えたり。色々と思いを巡らせている人も多いでしょうが、自身が定年退職するときに、いまの水準で退職金がもらえるかどうかは未知数。5年に一度、退職金の給付額について調べている『就労条件総合調査』。過去をさかのぼって平均退職金額をみてみると、多少の上下はあるものの、基本的に平均退職金額は減少傾向にあることが分かります。
【大卒・大学院卒「定年退職金額」の推移】
令和5年(2023年)調査:1,896万円
平成30年(2018年)調査:1,983万円
平成25年(2013年)調査:1,941万円
平成20年(2008年)調査:2,280万円
平成15年(2003年)調査:2,499万円
出所:厚生労働省『就労条件総合調査』より
およそ20年で定年退職金の減少額は603万円、25%の減少。つまり現在、平均月収41.8万円、年収693.4万円の大卒の40代サラリーマンが20年後に手にする定年退職金は1,400万円程度になる計算。2,000万円近くの退職金がもらえると考えていた人にとっては一大事。「老後資金が足りない!」と絶叫することになるでしょう。さらにいまの20代のサラリーマンが定年退職を迎えるころには「大卒で退職金1,000万円」がスタンダードになるかもしれません。
この20年で退職金額が減少となった背景には、企業の財務状況の悪化などがあります。もちろん、これから企業業績が好転していけば、退職金額は上昇するので、計算通りに定年退職金が減額になるとは限りません。
ただ戦後続いていた日本の人口増加は減少に転じ、国内市場は縮小の一途。海外市場における日本企業の存在感は薄れるばかり……そんな状況をみていると「退職金増額」に老後の生活をかけるのは、ちょっとした博打のようなもの。「退職金、もらえたら儲けもの」くらいに考え、老後生活をプランニングしておいたほうが身のためです。