(※写真はイメージです/PIXTA)

資産の多い少ないにかかわらず、親子間でお金について早いうちから話し合っておくことは非常に重要です。順当にいくと親が先立つ可能性が高いなか、お金についての話し合いができていない家族は親の死後、後悔するケースが多いと、FP1級の川淵ゆかり氏はいいます。本記事では、AさんとBさんの2家族の事例とともに、家族間のお金の問題について解説します。

父親が亡くなり、葬儀費用が必要になったBさんだが…

親の死後の口座の注意点について、もうひとつ事例をあげて紹介しておきます。

 

Bさんの父親は肺の病気で入院をしていましたが、85歳という高齢ということもあり、容態が急変して突然病院で亡くなってしまいました。

 

その後、葬儀や病院の支払いなどまとまったお金が必要になり、Bさんは実家のタンスの引き出しから父親の通帳と印鑑を持ち出し、銀行へと向かいました。ですが、前述のとおり故人の口座は凍結され、原則1円も引き出すことはできません。

 

近ごろは価格の低い家族葬が増えてきたとはいえ、通夜・告別式・火葬までで十数万〜規模によっては数百万円のお金がかかります。さらにお墓を建てるとなれば、100万〜数百万円が追加で必要になります。

 

また、故人の収入で世帯の家計を支えていた場合、当面の遺族の生活費も確保しなくてはいけませんし、故人の入院代や老人ホームの支払いが必要な場合もあります。Bさんの家庭はお子さんが私立大学に通っていますし住宅ローンの返済もあり、決して余裕があるわけではありませんから、父親の口座凍結は大変厳しいものでした。

葬儀代等の支払いが可能になる「預貯金の仮払い制度」

さて、Bさんのようなケースは決して少なくはありません。そこで、2019年の相続法の改正により「預貯金の仮払い制度」が新設されました。これにより、遺産分割の前でも故人の口座から預貯金の一部を相続人の1人が引き出すことが可能となりました。

 

金融機関の窓口で相談していただければ、「相続開始時の預貯金残高×1/3×法定相続分」という上限額(金融機関ごとに150万円まで)を受け取ることが可能になります。

 

なお、この仮払い制度を利用して受け取った金額については、仮払いをした相続人が遺産の一部を受け取ったものとみなされますので、後日、遺産分割の協議をする際は仮払いをしたことの報告が必要です。

 

ただし、被相続人がまだ支払っていなかったローンやクレジット等の残高、税金、入院費といった費用などのほかに、お通夜やお葬式の費用も「債務控除」といって、相続財産の価額から差し引くことができます。

 

葬式費用として控除できる主な費用は次のとおりです。

 

・お通夜、本葬にかかった費用

・火葬料、埋葬料、納骨料・遺体や遺骨の搬送料

・お布施、戒名料・会葬御礼の費用

 

なお、香典返しの費用や初七日・四十九日などの法要に係る費用は、相続財産から控除できません。遺産分割協議の場では、被相続人が死亡したあとにいくら引き出し、なににいくら使ったかを明確に示せるように準備しておきましょう。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表

 

 

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