大卒・大企業勤務の同期…出世を目指した男と、出世に無関心の男の結末
少なくともこの20年ほどは「若手の出世欲は低い」ということが分かりました。社会人経験を積んでいくうちに、出世に対する思いは多かれ少なかれ育まれていくものなのかもしれません。ただいつの時代も、必死に頑張ることをすかした顔でみている人たちはいるもの。
「何を必死になって頑張っているんだか……見苦しい」
「出世欲を丸出しにして、みっともない」
「出世なんてくだらない。上司に媚び売ってまで偉くなりたいのかね」
まるで「努力は悪」と考えているような、ちょっといけすかない人、同期には一人くらいいるのではないでしょうか。
しかし会社人である以上、給与を上げるには「出世をする」か、「今よりも給与のいい会社に転職をする」の二択。ずっとすかした態度で出世コースから脱落した人と、きちんと出世していく人、どれほどの違いになるのでしょうか。同期入社の大学卒・大企業(従業員規模1,000人以上)勤務の2人のサラリーマンの場合で考えてみましょう。なお数値はすべて、厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によるものです。
大学を卒業したての20代前半。役職のない2人の給与は月収24.1万円、年収369.0万円。大卒で大企業勤務とはいえ、入社1、2年の若手社員。まだまだ給与は平均的なサラリーマン以下です。
2人の給与に差が生じるのは40代半ば。大卒・大企業の係長(平均年齢45.7歳)の月収42.7万円、年収769.8万円。かたや役職なしの40代半ば、月収39.8万円、年収703.7万円。年収で50万円ほどの差なので、出世を否定する同期からは「出世して大変になるくらいなら、平社員のほうがまし」なんて嫌味をいわれそうな給与差です。
それから3年後。大卒・大企業の課長(平均年齢48.5歳)の月収61.0万円、年収1,038.4万円と一気に跳ね上がります。一方、いまだに役職なしの同期は月収42.3万円、年収735.6万円。ここまで差がつくと、気取っていた同期にも焦りが出てくるかもしれません。
それから4年後。大卒・大企業の部長(平均年齢52.6歳)の月収73.7万円、年収1,215.2万円。そして50代にして役職なしの同期は月収45.5万円、年収794.3万円。出世に対して無関心を装っていた50代社員は、40代半ばから月収5万円、年収90万円の給与アップ。さすが大企業ではありますが、片や部長になった同期は、月収で30万円、年収で450万円近くも給与アップ。「俺たち同期なんだ」というのも恥ずかしくなるほどの埋めようがない給与格差がついています。
どこまで出世できるかは、努力だけでなく社内政治や運などもあるでしょう。誰もが順調に出世できるわけではありません。ただ「給与を上げたいから出世したい」と頑張る人を冷ややかな目でみても、何の得にはならないことは明らかです。