日本企業の8割は、定年と共に退職金が支払われるといわれています。その使い道を想像する定年間近のサラリーマンですが「退職金のもらい方」で悩む場合も。複数の選択肢を採用する企業もあり、そのもらい方によって最終的な総額が変わってくるのです。退職金のベストなもらい方、考えてみましょう。
月収52万円「59歳の大卒サラリーマン」定年前に頭を抱える大問題…「退職金2,173万円」は一時金でもらうべきか、それとも年金か (※写真はイメージです/PIXTA)

退職金のもらい方…一番「手取り」が多いのは、どのスタイル?

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、50代後半の大卒サラリーマンの平均給与は月収で52.5万円、年収で837.2万円。大学を卒業以来、1社で頑張ってきた、という場合、単純計算、月収の40ヵ月分程度の退職金が期待できる、というわけです。

 

ーー退職金もらったら、何しようかな

 

などと、ウキウキしている人もいるでしょうが、そこでちょっとした大問題。

 

ーー退職金、一時金でもらいますか? 年金でもらいますか? それとも……

 

どちらかしか採用していない場合は選択の余地がありませんが、選択肢がある場合は、結構な悩みどころ。

 

そこでまずは考えたいのが「退職所得控除」。勤続年数20年超であれば、退職金から「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」を差し引いた分に課税されます。つまり、これを下回る退職金であれば税金はかからないということになります。ちなみに、勤続年数は年未満の端数が切り上げ。38年と1ヵ月働いていれば、39年として計算します。

 

もし勤続年数が37年であれば「退職所得控除額」は1,990万円、勤続年数38年であれば2,060万円、勤続年数39年であれば2,130万円、勤続年数40年であれば2,200万円。この金額を下回れば、まるまる手に入るということになります。

 

では控除額を上回ったら退職年金のほうがいいのかといえば、そういうわけでもありません。退職年金の場合、運用益も加わり、最終的な受取総額はアップする可能性が高まります。一方で公的年金等控除の対象となるため、全額が課税対象になるわけではありませんが、控除を超えた分は雑所得として課税されます。額面は一時金としてもらうよりも多くなりますが、手取りを比べた場合、一時金でもらうほうが得するケースが多いのです。

 

退職金が退職所得控除に収まらない……そんなときは収まる範囲で「退職一時金」を受け取り、超えた部分は「退職年金」で受け取る方法がベストだという声が多いようです。ただ退職金の使い方や、お金との向き合い方は人それぞれ。一度に大金を手にすると使ってしまう、という人もいれば、退職金で住宅ローンを完済を予定しているからと、まとまったお金が必要な人もいるでしょう。個々のライフプランを鑑みて、自身にとってベストな方法を検討することが重要です。