“勝ち組”サラリーマンでも手が届かない「都内新築マンション」
不動産経済研究所の『首都圏新築分譲マンション市場動向2023年8月』によると、首都圏・新築マンションの平均価格は21年の6,260万円、22年の6,288万円からさらに大きく上昇し、一戸当たり7,195万円となりました。東京都23区内に限ると、2023年1〜6月の新築分譲マンションの平均価格は1億円を超えており、平均的な年収のサラリーマン世帯では都心の新築マンションなど夢物語になりつつあります。
新築マンションの価格高騰の背景には、建設業界の人手不足による人件費の高騰や資材高などが挙げられますが、次々に供給される「高級タワーマンション」も、平均価格を釣り上げる要因の1つです。
そして、そんなタワーマンションの購入主体の1つがいわゆるパワーカップル。「世帯年収1,200万円以上」「夫婦ともに年収700万円以上」など、明確な定義はありませんが、ここでは夫婦ともに大卒・正社員、同年代の給与分布の上位10%に入る夫婦としてみましょう。
三大都市圏における新築マンションの購入者の平均年齢(一次取得)は39.9歳(国土交通省『令和4年度住宅市場動向調査』より)。この年代の大卒正社員の給与水準について、厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』をみてみると、男性の上位10%に入る月収(所定内給与)は53万4,000円、女性では42万8,000円です。ボーナスも平均的な水準だとすると、年収は男性853万円、女性685万円。2人の合計年収は1,500万円を超えることになります。
住宅ローンを組む際、その返済プランが適正かどうか判断する上で「年収倍率」「返済負担率」「完済年齢」の3つが基準になります。それぞれみていくと、「年収倍率」は年収の5倍まで、「返済負担率」は年収の20~25%、「完済年齢」は65歳まで。一般的にはこのあたりが、適正な住宅ローンの水準とされています。