輸入インフレに拍車をかける「長期的な円安」から資産を守る…“ホームバイアス”を避け、「外貨」に投資するときの〈3つのポイント〉【エコノミストが解説】

輸入インフレに拍車をかける「長期的な円安」から資産を守る…“ホームバイアス”を避け、「外貨」に投資するときの〈3つのポイント〉【エコノミストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

22年以降、円安局面を迎えた日本では「外貨投資」を行うことが有効な資産防衛策となり得ます。本記事では、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏の著書『インフレ課税と闘う!』(集英社)から一部を抜粋し、インフレへの対処として「外貨投資」が有効である理由や、外貨投資を検討する際、どんな種類の資産を選択すべきかについて解説します。

「債券投資」がより高いスキルを要するワケ

より高いスキルを要するのは、債券投資である。

 

債券投資は、ドルだけではなく、ユーロ圏の国々を対象に考えることができる。米国の長期金利は、2022年10月に4%程度まで上昇した。ユーロ圏でも、低い順からドイツ、フランス、イタリアと高くなっている。

 

ユーロ建てでは、イタリアの国債の利回りは、相対的に高くなっている。イタリア国債は、カナダやオーストラリアよりも少し高くなっている。

 

これは、財政プレミアムが上乗せされているからだ。同じユーロ圏ということであっても、ドイツやフランスよりも、信用リスクが為替に反映されにくい分だけ、金利が割高になっている。

 

長期金利の高さだけを見ると、南アフリカやメキシコの長期金利は、一時は10%を超えている。しかし、南アフリカのランドやメキシコのペソが高いインフレ率によって減価していくことを考えると、収益率は割引いて考えた方がよい。

 

欧州の長期国債は、それらの国々の成長率よりも長期金利が高くなっている。相対的に金利が高く、ユーロドルの通貨変動も限られている。ドルとユーロの通貨変動は、対照的になることが多いので、ドル建ての米国債と、ユーロ建ての欧州国債を併せて持つことは、分散投資効果を発揮しやすい。

 

外貨資産からインカムゲインを得ることは、自分の資産が着実に増えていくことを確認しやすい。

 

仮に、4%の利回りであれば、100の投資元本が10年間保有することで、利息を併せて140になることを意味する。10万ユーロが14万ユーロに増えれば、その価値が為替変動でマイナス28%まで失われても、何とか投資元本をしまわなくて済むという計算になる。

 

インフレ課税と闘う!

インフレ課税と闘う!

熊野 英生

集英社

コロナ禍やウクライナ戦争を経て、世界経済の循環は滞り、エネルギー価格などが高騰した結果、世界中でインフレが日常化している。これからは、「物価は上昇するもの」というインフレ前提で、家計をやりくりし、財産も守ってい…

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