「元本保証」では不十分…インフレ+低金利が招く〈国民の窮乏化〉に抗い、財産を自衛するための“鉄則”【エコノミストが解説】

「元本保証」では不十分…インフレ+低金利が招く〈国民の窮乏化〉に抗い、財産を自衛するための“鉄則”【エコノミストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本では、預貯金金利が物価上昇率を下回る状況が長引く見込みです。となると、価格変動リスクのある金融商品も活用してインフレ率に割り負けしないための運用を行う必要がありますが、その際には守るべき「鉄則」があるといいます。本稿では、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏による著書『インフレ課税と闘う!』(集英社)から一部を抜粋し、インフレ時代における「資産防衛」の方法について解説します。

国民の豊かさをじわじわと奪うインフレ+低金利政策

日銀総裁が黒田氏から植田氏に交代したことで、長く続いた超低金利が是正されていくという期待感はある。しかし、最も身近な預貯金金利は当分の間、上がらないだろう。

 

そして、仮に「マイナス金利解除」ということで、マイナス0.1%の短期金利をプラスに持っていく場合であっても、その後しばらくは、政策金利水準は0.1%程度に据え置かれるだろう。

 

黒田総裁の前任の白川方明(まさあき)総裁は、短期金利を引き下げつつも、0.1%よりも低くすることには躊躇していた。あまりに低い短期金利は市場機能を麻痺(まひ)させて、金融機関の資金交換に有害であるという認識があったからだ。

 

金融機関に過剰なストレスをかけないという意味で、マイナス0.1%ではなくなるとしても、0.1%程度の超低金利は続きそうだ。

 

そうなると、政策金利に連動する預貯金金利も低いままであろう。物価上昇率を大きく下回るような預貯金金利は、この先もずっと継続する可能性が高いと予想される。

 

私たちがここ1~2年間で思い知らされたのは、インフレリスクに備えなくてはいけないということだ。日本で物価が上昇しないと高を括っているところに、海外から予想外のインフレが襲ってきた。こうしたリスクは、気がついたときには十分な対処ができない。

 

多くの人は、「今後2~3年も生活は苦しくなる」と思っている。恐ろしいのは、今の生活ではなく、さらに将来までの生活がもっと苦しくなることだ。老後の資金が目減りすると言えば、わかりやすい。

 

例えば、老後のために元本2,000万円を蓄えていたとしよう。この2,000万円の価値は、3%のインフレによって、単純計算で年間60万円も目減りする。理由は、預金金利が低すぎて、利息収入でインフレリスクをカバーできないからだ。

 

預金金利が0.001%だったとすると、預貯金2,000万円を預けたときの利息は年間200円である。紙の通帳を作ると手数料を取る銀行に預けていると、この200円は吹っ飛んで、マイナスになる。

 

インフレは、そのコストよりも遥かに巨大な損失を預金者にもたらす。

 

政府は、物価対策と称して、給付金を配り、ガソリン・灯油・電気代・ガス代に価格補助を行っている。これで何か十分に物価対策をした気になってもらっては困る。もっと深刻なのは、金融資産の価値が目減りする方である。

 

金融資産からの収入が増えていればよいが、必ずしもそうではない。

 

預金金利がほぼゼロ%である理由は、日銀が超低金利政策を継続することにある。いわば、金融資産の目減りに手を貸しているも同然だ。それでは、国民の豊かさがじわじわと失われてしまう。

 

インフレ+低金利政策は、「国民の窮乏化政策」なのである。

 

これに対して、国民が財産を自衛するには、価格変動リスク、為替変動リスクを覚悟して、資産運用の姿勢を変えることが対応策になる。

 

インフレではない時代には、「元本保証があれば安心」という常識が成り立っていたが、インフレ時代には元本保証だけでは十分ではない。

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インフレ課税と闘う!

インフレ課税と闘う!

熊野 英生

集英社

コロナ禍やウクライナ戦争を経て、世界経済の循環は滞り、エネルギー価格などが高騰した結果、世界中でインフレが日常化している。これからは、「物価は上昇するもの」というインフレ前提で、家計をやりくりし、財産も守ってい…

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