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一人娘には老後を任せられない…老人ホームへの入居を検討
一人暮らしに不便を感じていなかった古川さんですが、この先のことを考えると少し不安がありました。一人娘は旦那さんの実家に同居しており、古川さん自身に何かあっても頼れません。もう少し体がつらくなったら老人ホームに入居するのも悪くない、そんなふうに考え始め、遊びに来た娘さんに相談をしてみました。
思いもよらない母の言葉に驚いた様子の娘さんでしたが、持参していたタブレットを開き、すぐに調べてくれました。最近の老人ホームはいろいろなタイプがあり、料金も設備もピンキリ。明るく楽しそうな雰囲気で、古川さんの思っていた少し暗くて寂しいイメージの昔の老人ホームとは随分変わっているようです。
「老人ホームの選び方」を検索した娘さんは「とにかく見学が大事みたい。百聞は一見に如かずとも言うし、私も同行するから見学に行きましょう」と言ってくれました。こんなとき、車で20分くらいのところに娘が住んでいるのは心強いと古川さんは思いました。
第一条件は「食事の美味しい」老人ホーム
娘さんから「お母さん、譲れない条件ってある?」と聞かれた古川さんは、第一に食事の美味しさをあげました。数年前に高齢者住宅に入居した友人の話では、朝はトーストと卵料理、昼食と夕食は仕出し弁当が提供されていて、味気ない食生活を送っていると聞いてきました。
これまで60年近く、3食を手作りしてきた古川さん。朝食には炊き立てのご飯とみそ汁が絶対でした。「お母さんの料理、美味しいから、味には厳しいわよね。それなら食事が自慢のホームから見学に行ってみましょう」と、娘さんは3件の老人ホームをピックアップしてくれました。
100点満点の終の棲家を見つけたい
食事をウリにしている3つの老人ホームは、どれも十分満足できる場所でした。食事が美味しいのはもちろん、居室の内装も素敵でしたし、館内にはさまざまな共有設備が整っていました。
古川さんが長年趣味としている卓球ルームがあるところはとても魅力的でした。サークルに入れば仲間もできそうです。ただ、そのホームには温泉がありませんでした。反対に天然の温泉をひいているホームには卓球ルームはありません。ロケーションの素敵なホームは、立地がやや田舎で、ショッピングに出歩くのが難しそうでした。あちらを立てればこちらが立たず。満点というわけにはいきません。
「まだ、元気なんだし、もう少し探してみましょう」娘の優しい言葉もあり、古川さんはしばらく老人ホーム見学を続けながら、自分にぴったりの終の棲家を見つけることに決めました。
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