(※画像はイメージです/PIXTA)

厚生労働省が10月6日に発表した「毎月勤労統計調査」(8月分)によると、8月の「実質賃金」は前年同月比2.5%減少し、17ヵ月連続でマイナスとなりました。実質賃金とは何か、どのような意味をもつのか、マイナスが続く要因として何が考えられるのか、解説します。

実質賃金とは

実質賃金とは、労働者が給与として受け取った賃金(名目賃金)の額をもとに、物価上昇率を考慮に入れて計算される数値です。厚生労働者が「毎月勤労統計調査」において、月ごとの実質賃金を算出しています。

 

給料が上がったとしても、その金額で何をどれだけ買えるかということは別の問題です。給料が上がっても、物価の上昇幅がそれを上回ってしまえば、実質的には給料が下がったのと同じです。

 

名目賃金が上がったとしても、物価がそれよりも大きく上昇したら、実質賃金は下がってしまいます。また、名目賃金が横ばいの状況で物価が上昇した場合、やはり実質賃金は下がります。

 

実質賃金が減少しているということは、国民全体として購買能力が低くなり、貧しくなっているということを意味するのです。

 

実質賃金は2022年4月以降、2023年8月まで17ヵ月連続で前年同月比マイナスを記録しています。この間、消費者物価指数は前年同月比プラスが続いています([図表]参照)。

 

厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年(2023年)8月分結果速報」より
[図表]「実質賃金」と「消費者物価指数」の前年同月比の推移(過去17ヵ月) 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年(2023年)8月分結果速報」より

 

◆実質賃金の計算方法

実質賃金の指数の計算式は以下の通りです。

 

実質賃金指数=名目賃金÷消費者物価指数×100

 

「名目賃金」は、統計上の全労働者の平均の賃金くらいというイメージを持っておいていただければけっこうです。

 

「消費者物価指数」(CPI)とは、消費者が購入する計582品目の商品・サービスの価格(小売価格)の動きを計測するものです。総務省が毎月発表しています。

 

◆自分自身の実質賃金も計算できる

実質賃金は自分自身の給与について計算することもできます。自分の給与の額(毎月の給与明細書に記載されている金額)を消費者物価指数で割れば、自分自身の実質賃金がわかります。また、過去の各月について計算すれば、実質賃金が上がっているか下がっているか、はたまた横ばいなのかということがわかります。

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