優れたFPのアドバイスなら「相談料」を支払う価値あり
金融機関が資産運用や相談のプロではないとすれば、ファイナンシャルプランナー(FP)はどうでしょうか?
私はもっとFPにきちんとお金を払っていろいろなことを相談すべきだと思います。世の中にFPの資格を持っている人はかなり多いようです。日本FP協会によると、普通資格である「AFP」取得者は約15万4000人、上級資格である「CFP」になると約2万人ですから、合計で17万人余り、さらにほかの団体の資格も合わせると、おそらく20万人を超える数になるでしょう。
ただし、これらの多くは銀行や証券会社、保険会社の社員で資格を取得している人たちですから、中立的なアドバイスはあまり期待できません。もちろん金融機関の社員でFP資格を持っている人のなかには相当優秀な人もいると思います。
しかし前回述べたとおり、優秀かそうでないか以前の問題として、そもそも「相談」を業として報酬を得ているのか、あくまでも相談は金融商品を販売するための付随的なサービスとしてやっているのかを理解しておく必要があります。言うまでもありませんが、優れたサービスの提供を受けるためには料金が発生します。
一般に日本人は相談やコンサルティングなどのサービスの対価として、目に見えないものに対してお金を払うのを好みません。しかしながら、優秀なFPの人に数万円のお金を支払って適切なアドバイスを受けることで何十万円、場合によっては何百万円もの経済的効果があるのですから、こういうサービスにお金を払うことを躊躇すべきではないと思います。
保険代理店や仲介業を兼務するFPは中立ではない!?
ただ、「金融機関に属していないFPであれば誰でもいいのか?」といわれればそういうわけではありません。注意すべき点が二つあります。
まずはそのFPの得意の分野は何であるか。お医者さんにも専門分野はありますし、弁護士だって民法、刑法、企業法務など自分の得意の分野があるように、FPにもある程度、個々に得意分野があります。
自分が相談したいと思っている分野にFPが詳しいかどうかを確認する必要があります。例えば、ここでは「お金を働かせる」というテーマですから、当然資産運用の話題になります。これから相談しようとしているFPが、資産運用を専門としているかどうかは聞いたほうがいいでしょう。もちろん試験を通って業務を展開しているわけですから、ほとんどの分野で一般の人よりは深い知識は持っているでしょうが、資産運用に詳しいFPというのは意外と少ないのが現状ですから、よく確認したほうがよいと思います。
良心的なFPであれば、仮に自分が詳しくない場合は、ほかの方を紹介してくれることもあります。苦手な分野でいい加減なアドバイスをするのではなく、より詳しい人につなぐというのは顧客からの信頼を得る上でも大切なことだからです。
もう一つ大切なことは、そのFPが保険の代理店や証券仲介といった業務を行っているかどうかです。その場合は、保険会社や証券会社へつないだ場合に一定のコミッション(手数料)がそのFPには入ってきます。まったくの相談料だけで業務をしている人に比べると、どうしても自分が取り扱っている商品を勧めるインセンティブ(報奨金)があるのは当たり前。完全に中立的なアドバイスが行われないかもしれないということは知っておいたほうがいいでしょう。これは聞けばきちんと答えてくれます。
最後に繰り返しになりますが、本来はまず自分で勉強し、納得することが何よりも大事です。わからない場合にだけ金融機関やFPに聞くという姿勢を持つことです。自分の資産運用の結果については誰も責任をとってくれません。自分で判断して責任をとることをしっかり意識しておきましょう。