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相続が発生したら、相続税がいくらかかるか不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。相続に不動産が含まれる場合は、2024年4月1日より相続登記が必須となり、より正確な税額の計算が求められます。しかし、必ずしも相続時に相続税が発生するわけではありません。相続財産が多くあると相続税を支払う必要がありますが、基礎控除の範囲内に収まる場合には相続税を支払わずに済みます。この記事では、相続税の基礎控除の概要、計算方法、基礎控除以外の控除について、税理士法人ブライト相続に所属する、税理士兼行政書士である天満亮氏監修のもと解説します。

基礎控除を確定するためには法定相続人を確定させる

基礎控除を確定するためには、法定相続人の人数を確定させる必要があります。

 

例えば、前の配偶者の間に子供がいる場合、その子供も法定相続人です。家族も知らない法定相続人が存在する可能性もあるので、相続が発生したら被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本を確認して法定相続人を確認する作業から始めます。遺産分割協議が終わってから新たな法定相続人の存在が分かれば、遺産分割協議をやり直す必要が出てきてしまうので慎重に行わなければいけません。

 

なお、被相続人に実子がいる場合は、養子のうち1人までが法定相続人です。被相続人に実子がいない場合は、養子のうち2人までを法定相続人に含めます。あくまでも相続税の計算上の法定相続人の人数が「1人まで」、「2人まで」、という意味ですので、その点は誤解の無いようにしてください。養子縁組それ自体の人数制限はありません。

 

法定相続人の人数が確定すれば、基礎控除の額も決まります。

基礎控除以外で相続税を軽減する4つのケース

相続財産が多く基礎控除の範囲に収まらない場合、事前に対策をすることで相続税の負担を軽減できる可能性があります。ここでは、相続税の基礎控除以外の相続税を軽減する方法4つをご紹介します。

配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減を利用すれば、相続財産の1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額までは相続税はかかりません。つまり、被相続人から配偶者へ相続財産を相続するケースで配偶者が相続税を支払うケースは、ほとんどないのです。

 

ただし、この制度を利用する場合、2次相続まで相続全般を見て考える必要があります。2次相続発生時には、法定相続人の人数も減り、それによって基礎控除額も減ってしまうからです。2次相続で損する可能性があるのであれば、配偶者の税額軽減を利用して配偶者に相続を集中させるのはおすすめできません。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例を利用すると、不動産の相続税の評価額を大きく落とすことができます。小規模宅地等の特例が使えるのは、被相続人が住んでいた宅地、被相続人が事業を営んでいた宅地、賃貸用にしていた宅地の3種類です。減額割合は最大80%で、節税効果が高い制度です。小規模宅地等の特例を利用したい場合、被相続人となる人が生前に対策をする必要がある場合もあります。

暦年贈与の活用

暦年贈与は、1年あたり受贈人1人に対して110万円までの贈与が非課税でできる制度です。暦年贈与を繰り返すことで、相続財産を圧縮できます。

 

例えば、財産を保有している人に孫が4人いる場合、1年で100万円ずつ10年にわたり暦年贈与すれば、相続財産を4,000万円減らすことが可能です。ただし、暦年贈与は相続時精算課税制度と併用できないので注意しましょう。

生命保険の活用

生命保険は、500万円×法定相続人の人数分まで非課税です。そのため、被相続人が生命  保険を生前に契約していれば、基礎控除と合わせた金額が課税財産から差し引かれます。

 

例えば、法定相続人が3人で生命保険が500万円ずつかけられている場合、基礎控除が4,800万円に加えて生命保険1,500万円分までならば非課税で相続できます。

早めの対策が重要

相続税は、全ての相続で発生するわけではありません。相続財産が基礎控除額を上回る時にのみ発生します。基礎控除額は、法定相続人の人数により異なり、法定相続人が増えるほど基礎控除額は増えます。基礎控除額を確定させるためにも、誰が法定相続人になるのかをきちんと確認しましょう。

 

基礎控除以外には、配偶者の税額軽減制度も活用できます。この制度を利用すれば、ほとんどのケースで配偶者は相続税を支払わずに相続できるでしょう。また、被相続人が存命のうちに対策が必要ですが、小規模宅地等の特例、暦年贈与、生命保険などを活用することで相続税を軽減できます。相続財産が多く、基礎控除を超える可能性がある場合には、早めに対策をしておくのがおすすめです。

 


天満 亮

税理士法人ブライト相続 税理士・行政書士

 

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