転職を機に給与が下がることは珍しくありません。一方で、ときにはあえて転職時の給与ダウンを受け入れるべきケースがあるといいます。本稿では、東京エグゼクティブ・サーチの代表取締役社長・福留拓人氏が、“あえて給与を下げる”意味とその戦略について解説します。
「過剰な給与交渉」は逆効果…給与ダウンを“あえて”受け入れる〈狡猾な転職術〉とは?【転職のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

需要と共有の法則が働く転職市場…給与が下がる確率が高い転職とは?

転職を検討する際、多くの人が年収アップを意識するはずです。しかし、すべての人がそれを実現できる訳はなく、なかには年収半分とか3分の1ほどになってしまうケースも見受けられます。

 

以下、転職で給与が下がりやすい事例をいくつかみていきましょう。

 

【転職で給与が下がるケース】

・現職で受け取っている給与が非常に高い
戦略系コンサルティング・ファームなどから一般的な事業会社への転職でよくみられる事例です。

・インセンティブの割合が高い企業から“安定志向”の企業に移るケース
有能な人材はより高い動機づけを求めますが、安定志向をめざす場合、給与は下がることが多いでしょう。

・大企業で「役職定年」を迎えた転職者
給与の高い大手企業で役職定年を迎え、転職して再スタートを図ろうとする場合、給与は下げざるを得ません。

・大企業→中小企業に移るケース
例外はありますが、安定の大企業から未知数の中小零細企業に転職する場合、給与が下がるケースが大半でしょう。

 

以上のようなケースでは、転職のタイミングで給与を下げざるを得ないのが現実です。人材市場にも需要と供給の法則が働くため、給与が下がる可能性が高いのです。