日本のサラリーマンの5人中4人は「出世には興味がない」と考えているようです。上司の働きぶりをみて、「あぁはなりたくない」と考える人が多いのでしょう。ただ、ヒラ社員と管理職の間には明確な給与差があります。そしてその差は、老後に受け取る年金額にも響くのです。「重い責任を負いたくない」と、ヒラ社員に留まり続けるリスクについて考えていきましょう。
後悔しています…エリート同期との生涯賃金差「5,000万円」。“定時ダッシュ”を優先した〈万年ヒラ社員〉の嘆き (※写真はイメージです/PIXTA)

「エリート」と「ヒラ社員」では生涯賃金に5,000万円の差が

平均的なスピードで昇進した場合と、ヒラ社員で定年を迎えたサラリーマン。生涯賃金を比べてみると、前者はおよそ3億円であるのに対し、後者は2億5,000万円。60歳の時点で、5,000万円もの差がついています。

 

さらに、この差は65歳以降に受け取ることになる年金額にも影響します。

 

厚生年金の計算の基本になる「平均標準報酬額」は、エリートの場合で65万円、ヒラ社員の場合は56万円。これを基に計算すると厚生年金部分は13万1,000円。元・エリートサラリーマンが受け取る年金額は、国民年金と合わせて19万7,000円ほどとなります。一方、元・ヒラ社員の厚生年金部分は11万3,000円、国民年金と合わせて17万9,000円ほど。

 

収入が年金のみに限られる世代にとって2万円の差は小さくありません。とくに、昨今のような急激な物価上昇が起きている状況下ではなおさらです。

 

上記の計算は、あくまで平均値に基づくものなので、実態とは異なるところもあるかもしれません。ただ、「実績を挙げて出世を果たしたエリート」と「出世をあきらめたヒラ社員」の間の給与差は明確。そして現役時代の給与差は、老後に受け取る年金額にも跳ね返ってくるというのが実情です。

 

「ワークライフバランス」という言葉を、過度な残業等の過重労働を控え、プライベート(ライフ)を充実させる、といった意味合いで捉えている人が多いようですが、厚生労働省の解説によれば、それが意味するところは「仕事と生活の調和」。仕事を蔑ろにし、昇格・昇給を実現できず、しかも老後も苦しむことになるとすれば、それはバランスが取れていない状況といえます。

 

充実したサラリーマン人生と、豊かなセカンドライフを実現するためには、思い切り「ワーク」の方にウエイトを傾けてみる時期が必要になるのかもしれません。