親が残した遺言書の内容や生前の親の介護・看護への寄与度など、原因はさまざまですが、親が亡くなった後に遺産分割をめぐるトラブルが発生するケースは珍しくありません。本稿では、古尾谷裕昭氏監修の『生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない相続・贈与の超基本』(朝日新聞出版)より一部を抜粋し、相続トラブルのケーススタディーをみていきます。

遺産分割でもめてしまい、話がまとまらない。どうすればいい?

亡くなった母親の遺産分割協議の最中に、次男と意見が対立して、感情的なもつれから弟は私からの連絡にも応じなくなってしまいました。どうしたらよいでしょうか?

 

【ANSWER】
相続人同士の話し合いで結論が出ない場合は、専門家の力を借りるのが得策

話がまとまらない時は調停で解決する

遺産分割協議に際して、相続人の間でなかなか合意に至らないというケースはよくあります。感情的になって話し合いができない、または話し合いの内容に納得がいかないということもあるでしょう。

 

そうした場合には、家庭裁判所に申し立てをして調停で解決する手段があります。相続人からの申し立てに応じて遺産分割調停委員会が立ち上がり、専門家である調停委員が相続人全員の意見や生活状況などを聞き取ったうえで、分割方法を提案します。

 

それでも全員が納得しない場合は、審判へ移行し裁判官による判断を仰ぎます。

 

遺産分割調停とは:相続人の1人もしくは複数人が家庭裁判所に申し立てることによって実行される制度。裁判官と調停委員で構成された遺産分割調停委員会が各相続人の意見や経済状況を聞き取り、客観的な立場から最終的に分割方法を提案する。ただし、あくまで提案であって強制力はない。

 

遺産分割審判とは:調停を経ても相続人全員が納得しなかった場合、裁判へ移行し裁判官による判断が下される。判決に応じない相続人には「履行勧告」が出されることもある。最終的には民法に定める法定相続分に落ち着く事例が多いのが実状。

 

【遺産分割調停・審判の流れ】
①家庭裁判所に申し立て

申立人  相続人1人以上
申立先  相手方の住所地の家庭裁判所
必要書類 申立書、遺産目録、相続人全員の戸籍謄本など
費用   被相続人1人につき 収入印紙1,200円分+切手代

②調停委員会による聞き取り
・主に調停委員が相続人それぞれの意見や希望を聞き取り
・遺産の調査
相続人は弁護士などの専門家に相談・助言を求めるのもよい

③調停案の提示
調停委員会で検討して分割方法を提案
全員が納得 → 調停成立
1人でも拒否 → 裁判官による審判

 

※本連載は、古尾谷裕昭氏監修の『生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない相続・贈与の超基本』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない 相続・贈与の超基本

生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない 相続・贈与の超基本

古尾谷 裕昭

朝日新聞出版

超基本シリーズ第8弾のテーマは「相続」。相続とは一体何なのか?から、個別の事例まで、"これが知りたかった!"がスッキリわかる。別冊には、「書き込み式エンディングノートドリル」つきで、今の自分や家族の資産や負債をま…

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