親が残した遺言書の内容や生前の親の介護・看護への寄与度など、原因はさまざまですが、親が亡くなった後に遺産分割をめぐるトラブルが発生するケースは珍しくありません。本稿では、古尾谷裕昭氏監修の『生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない相続・贈与の超基本』(朝日新聞出版)より一部を抜粋し、相続トラブルのケーススタディーをみていきます。

遺言書に異議申し立てをする方法は?

3人きょうだいの次男で、先日父親が亡くなりました。遺言書には「長男に全財産を譲る」と書かれていて、長女と自分への分割についてはまったく触れられていませんでした。

 

長女も私もこの内容に納得がいきません。異議を申し立てる方法はあるのでしょうか?

 

【ANSWER】
遺言書が有効で遺留分を侵害していれば、遺留分侵害額を請求できる

 

不当な遺言書に対して最低限の権利は主張できる

被相続人が遺言書を残していた場合、原則としてその内容に従って遺産相続が行われます。

 

ただし、遺言書が絶対ではなく、遺言書自体が有効と認められない場合や、相続人がその内容に納得できない可能性もあります。

 

具体的には、被相続人が個人的に作成し法務局にも公証役場にも届けていない、遺言書が法的要件を満たしていない、不当に低い分配が指定されている、などのケースが考えられます。

 

遺言書の内容が開示されたのち、相続人の間で不満が出た時は、最低限の権利である遺留分(法定相続分の2分の1など)を主張できます。

 

遺言書に納得がいかない場合の対策

①遺言書の無効を主張

②相続人全員で分割協議

③遺留分の請求

 

遺言書が無効となる可能性があるケース

遺言書といっても故人が一人で作成し自分で保管していた場合には、公証人と一緒に作成し公証役場で保管していた場合とは異なり、無効となることがあります。

 

【プラスアルファ】遺言によって遺産を受け取る人がいる場合
相続人だけでなく受遺者がいる場合に、遺留分を侵害する遺言があった時は相続人と受遺者全員の合意があれば遺産分割協議によって財産を分けますが、合意がない場合は遺言に沿って相続することになります。

 

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※本連載は、古尾谷裕昭氏監修の『生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない相続・贈与の超基本』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない 相続・贈与の超基本

生前と死後の手続きがきちんとわかる 今さら聞けない 相続・贈与の超基本

古尾谷 裕昭

朝日新聞出版

超基本シリーズ第8弾のテーマは「相続」。相続とは一体何なのか?から、個別の事例まで、"これが知りたかった!"がスッキリわかる。別冊には、「書き込み式エンディングノートドリル」つきで、今の自分や家族の資産や負債をま…

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