資産6億円全て失って不健康な身体だけが残る
億単位の収入を得ることになった人のフロー思考をのぞいてみましょう。『シリコンバレー式最強の食事』(ダイヤモンド社)を出版した著述家のデイブ・アスプリーです。
彼はカリフォルニア大学・サンタバーバラ校を卒業した後、IT 業界に進み、シリコンバレーでスタートアップ企業の役員を務めていました。
ちょうどインターネットが急成長し、IT 業界が脚光を浴びた時代です。彼は自分自身を「最も収入を上げることができる業界」に置くことで、わずか26歳にして約6億円の資産を得ることに成功しました。
しかし、億万長者になったのも束の間、2年後にその6億円をすべて失うことになるのです。
彼に残ったのは病にまみれた自分の身体だけでした。彼は、シリコンバレーで働いていた間の不摂生な生活と高カロリーの食事がたたり、体重が140キロ以上になっていたのです。このため、億万長者から転落して、さらに生死の境をさまようことになってしまいました。
億単位の資産を一瞬にして失い、残ったのは病気がちの肥満の身体だけだったら、普通のストック思考の人ならば、そのまま死んでしまうことを考えたかもしれません。
しかし、彼はとことんフロー思考でした。というのも、シリコンバレー時代、彼は収入の柱を作る専門家だったからです。彼は起業してすぐに数百億円単位の売上を叩き出すフローを作ることが得意だったのです。
「肥満を解消する」という思いだけで収入の柱を立ち上げる
もともと、起業家精神にあふれていた彼は、何かの不満があるとそれを解消しようと、あらゆることを実践するタイプの人でした。
たとえば、今の仕事をもっと効率化すれば、時間が余るかもしれないと思ったら、仕事のプロセスや会議を減らすなど、効率化のためのあらゆる手段を取るのが彼の考え方だったのです。
同じように、「もう肥満はたくさんだ」と思ったことが、自分の新しい収入源である“ダイエット法”の確立につながりました。
さまざまなダイエット法を調べ、生物学にまで精通した彼が生み出したのが、「完全無欠ダイエット(ザ・ブレットプルーフ・ダイエット)」でした。チベットのバター茶に着想を得て、コーヒーにバターを配合し、糖質を効率的に燃焼するというダイエット法を開発したのです。
現在では、本も出版し、さらにバターコーヒーのコーヒー豆も販売するなど収入の柱を増やし続けた結果、グループ全体の年商は500億円に達しているといいます。
しかし、バターコーヒーを使った収入の柱が、最初から順調だったわけではありません。そもそも、ダイエットにバターを入れたコーヒーを使うこと自体が突拍子もないアイデアでした。
最初は、お金のことはまったく考えずに、自分とその周囲の100人ぐらいの人を対象に、肥満で困っている人を助けたいという思いで始めたそうです。しかし、常識はずれのダイエット法ということで、多くのメディアが注目し、500億円の市場にまで成長することになったのです。