(※写真はイメージです/PIXTA)

配偶者が亡くなってから隠された借金が判明するケースは意外と多く、遺された遺族は後始末が非常に大変です。それがもし、故人の親族と配偶者のあいだで争いが起きがちな「子のいない夫婦の相続」で起きると、なおさら混乱を招くでしょう。では、隠された借金が相続時に見つかった場合には、どうすればよいのでしょうか。本記事ではFP1級の川淵ゆかり氏が、Bさんの事例とともに、相続における借金の対処法について解説します。

どうしても相続したい遺産がある場合の「選択肢」

住まいのようにどうしても相続したい遺産がある場合は、「相続放棄」ではなく「限定承認」という方法もあります。

 

限定承認とは、プラスの遺産の範囲内でマイナスの遺産を相続するというもので、プラスマイナスゼロにするものです。これにより、相続する借金の負担を大きく減らすことができます。

 

たとえば、プラスの遺産が1,000万円、借金が3,000万円といった場合、限定承認を利用した場合は、借金返済の負担を1,000万円まで下げることができます。

 

つまり、「1,000万円分の財産はもらうことはできるけど、1,000万円の借金はお金を用意してしっかり返してよね」という仕組みです。

 

さて、隠れていた借金が死後に出てくるケースはありますが、相続放棄も限定承認も原則として期限があり、「自己のために相続の開始があったこと(被相続人が亡くなったことと、それにより自分が相続人となったこと)を知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所でその旨を申述しなければならない」とされていますので、注意が必要です。

 

もし、大きな借金のある人は、万が一に備えて遺言書に記載するなどして遺族に早めに知らせる手段をとっておいたほうがいいでしょう。

老後の資金計画は夫婦二人での協力が必要

Aさん夫婦のように、生活費だけ渡してお金の管理を自分でするご主人様はいらっしゃいますし、副業を認める企業が出てきたとはいえ、「反対されるから」と副業を妻に隠して行うご主人様もいらっしゃいます。

 

ですが、老後に受け取れる年金は決して大きなものではありませんので、夫婦の協力がどうしても必要です。AさんはBさんとの老後の暮らしを少しでもよくしようと副業やリスクの高い投資などに走ったのでしょうが、一人で決めてしまうのではなく、夫婦で考えるべき問題でした。

 

Bさんが早く立ち直って、笑顔が戻ってくれるといいなと思います。

 

<参考>

日本年金機構HPより

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表

 

 

 

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