Bさんを驚かせたAさんの貯蓄額と従兄の一言
子どももおらず、すでに両親もきょうだいもいないAさんの法定相続人は奥さんのBさんだけになります。
BさんはAさんの死後にAさんの通帳を確認しましたがほとんど残っていなかったため愕然とします。不審に思い、銀行へ確認に出向きましたが結果は同じです。
それどころか、銀行からは副業のために必要だからと生前に大きな借り入れをしており、退職金で清算したことを聞かされます。
さらにBさんを驚かせたのは、初七日にやってきた従兄の言葉です。
「実は、あいつに300万円貸していたんだよ」
ちゃんとAさん自筆の借用書も見せられ、訳のわからないBさんは絶句しました。
後日、ゆっくり従兄から話を聞くと、
「老後のためと思って十数年以上も前に駅の近くにネットカフェをオープンしたんだよ。けれどそのうちうまくいかなくなって閉店したらしいんだ。苦労したみたいで赤字を取り返そうと信用取引の投資にも手を出したらしくて……。Bちゃんには話せなかったようだけど悩んでたと思うよ。こんなときに悪いんだけど、うちも苦しいからごめんよ」
という事の次第だそうです。
Bさんはほとんど家にいなかった夫の知らなかった面を次々と突きつけられ、ショックでしばらくは家から出られなくなってしまいました。
Bさんが思い返してみると、たしかにAさんは元気がなかった時期と、従兄が話す、経営していたネットカフェが不振となった時期が重なりますし、家のリフォームを相談しても話に乗ってこなかったそうです。
後日、従兄に対しては、死亡保険金から返済を行ったそうです。
「お金の管理をほとんど夫に任していたのもダメでしたね。いろいろと悩んでいたことも体に影響が出たのかな、もっと話をしたほうがよかったかな、と後悔することばかりです。ですが、くよくよしても仕方ないので、頑張って一人で生きていくしかないですね」とため息をつきながら話したBさんが印象的でした。
Bさんには、わずかな貯蓄と一戸建ての家と借金返済後の死亡保険金が残されました。女性は長生きですから途中で資金が枯渇しないように、リフォームにお金をかけるのではなく、将来に必要な老人ホームの入居費用を考えたマネープランを提案しました。
もし、残された借金があまりにも大きな金額だったら…
夫が亡くなったあとに隠していた借金が明らかになるケースは意外とあります。こういったマイナスの遺産も相続の対象になるので注意が必要です。
借金を相続したくない場合、「相続放棄」という手段があります。しかし、相続放棄は借金のようなマイナスの遺産だけでなく、プラスの遺産も含めたすべての財産を放棄することになってしまいます。
たとえば、借金は相続したくないけど住んでいる家は相続したい、ということはできません。ですから、相続放棄すると住まいが夫名義だった場合は住み続けることはできなくなります***。
***配偶者については相続放棄しても「配偶者短期居住権」があるため、最長6ヵ月間の居住は認められます。詳しくは弁護士等の専門家に相談してください。
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