加給年金とは
加給年金は、サラリーマン(会社員・公務員)が加入する「厚生年金」に特有の制度です。
老齢年金受給者で、一定の要件をみたす配偶者や子がおり、その配偶者・子の生計を維持している人であれば、通常の年金にプラスして一定額を受給できます。ただし、届出をしないと受給できません。
受給者自身の要件
受給者自身の要件は以下の通りです。
・65歳に達している
・老齢厚生年金を受給している
・厚生年金保険(公務員の共済年金も含む)に20年以上加入している
年金を受給していることが条件なので、65歳以上で「繰り下げ受給」をしている場合には受給できません。
加入期間については「中高齢の特例」があります。これは、1951年5月1日以前に生まれた方について、男性であれば40歳以降、女性であれば35歳以降に15~19年加入していれば、年金の受給資格をみたすこととする特例です。1986年の年金制度改正に伴って、経過措置として設けられたものです。
【中高齢の特例】
・1947年4月1日以前生⇒15年加入で受給資格充足
・1947年4月2日~1948年4月1日生⇒16年加入で受給資格充足
・1948年4月2日~1949年4月1日生⇒17年加入で受給資格充足
・1949年4月2日~1950年4月1日生⇒18年加入で受給資格充足
・1950年4月2日~1951年4月1日生⇒19年加入で受給資格充足
家族(配偶者・子)の要件
配偶者・子の要件はそれぞれ以下の通りです。受給者がその家族の生計を維持していることが必要です。
◆配偶者の要件
配偶者は、以下の両方をみたす必要があります。
【配偶者の要件(以下の両方)】
・65歳未満
・年収850万円未満
また、法律婚だけでなく、事実婚(内縁)も含みます。ただし、夫婦として共同生活を営むことについての「合意」と、共同生活を営んでいる「事実」が要求されます。
◆子の要件
子については、以下のいずれかをみたす必要があります。
【子の要件(以下のいずれか)】
・年度の末日(12月31日)で18歳以下
・20歳未満で「障害等級1級」または「2級」
加給年金の金額
加給年金の金額は、基本の加給年金に加え、配偶者の分については、受給権者の生年月日に応じた特別加算があります。
◆基本の加給年金の額
基本の加給年金の額は以下の通りです。
【基本の加給年金の額】
・配偶者:22万8,700円
・子(第1子・第2子):22万8,700円
・子(第3子以降):7万6,200円
◆配偶者加給年金の特別加算
配偶者の分の加給年金については、受給権者本人の生年月日に応じた特別加算があります。配偶者の生年月日ではなく、あくまでも受給者本人の生年月日が基準となります。
【特別加算と加給年金合計】(日本年金機構HP「加給年金額と振替加算」より)
・1934年4月2日~1940年4月1日:3万3,800円⇒加給年金合計26万2,500円
・1940年4月2日~1941年4月1日:6万7,500円⇒加給年金合計29万6,200円
・1941年4月2日~1942年4月1日:10万1,300円⇒加給年金合計33万円
・1942年4月2日~1943年4月1日:13万5,000円⇒加給年金合計36万3,700円
・1943年4月2日~:16万8,800円⇒加給年金合計39万7,500円
受給権者が65歳以上、配偶者が64歳以下だと、39万7,500円(月3万3,125円)ということになります。