法改正により「雇用の安定」が図られ、「同一労働・同一賃金」で格差是正の下地もできた……非正規社員の待遇改善に向けて、さまざまな取り組みがされていますが、実際はどうなのでしょうか。みていきましょう。
結局、おれらは捨て駒さ…時給1,141円「45歳の非正規社員」、働けど働けど低収入の悲哀 (※写真はイメージです/PIXTA)

非正規の1/4は「正社員と同等」または「それ以上」の仕事をしている

前出のとおり、非正規社員については正社員との賃金格差など、待遇について問題になりがち。そこで正社員への転換のほか、「同一労働・同一賃金」など、改善の動きがみられます。しかし、

 

――結局、おれたちは捨て駒さ

 

雇用が不安定でセーフティネットも不十分。低収入で経済的自立も困難、しかもキャリア形成も不利……そんな非正規社員のボヤキは、いまだに聞こえてきます。そこで公益財団法人連合総合生活開発研究所『2022年 非正規雇用労働者の働き方・意識と労働組合に関する調査』で非正規社員の状況をみていきましょう。回答者については以下の通り。

 

性別:男性26.2%、女性72.8%

年齢:平均45.0歳

雇用形態:パート・アルバイト73.5%、契約等16.0%、派遣7.9%、嘱託1.8%

最終学歴:中学4.4%、高校41.8%、専修等17.0%、短大等15.4%、大学20.6%、大学院0.8%

配偶者:有・同居54.4%、有・別居2.3%、無43.3%

 

まず「仕事の内容と難易度」についてみていくと、「正社員と同じ内容で、同程度の仕事」が26.4%、「正社員と同じ内容で、正社員よりも高度な仕事」が2.5%、 「正社員と同じ内容で、正社員よりも軽易な仕事」が28.2%、「正社員とは異なる仕事」が25.6%。4分の1以上が正社員と同程度以上の仕事をしています。

 

正社員と同じ内容で、同程度以上の仕事、または軽易な仕事と回答した約6割の人たちに給与水準を聞いたところ、「賃金水準は低くかなりの格差がある」が36.0%、「賃金格差はあるが許容できる程度である」が36.6%、「賃金水準はほぼ同等以上である」が8.3%。許容できるかできないかは別として、仕事内容・難易度以上に格差が生じたままであることは明らかです。

 

2021年4月から、すべての企業に「同一労働同一賃金」が適用されましたが、実際に同一労働であるかどうかの判定は難しく、また人件費抑制の観点からも、あえて正社員と同じ仕事はさせないという企業も多数。格差是正に向けて、前進しているとは言い難い状況です。


そんな非正規社員の平均時給は平均1,141円。一方、厚生労働省の調査によると正社員(平均年齢42.6歳)の平均時給は1,975円。1.7倍の差が生じています。もちろん、正社員よりも軽易な仕事をしているケースも多いので一概に少ないとはいえませんが、正社員との格差に納得できない非正規社員が36.0%もいることから、改善の余地は大いにありそうです。