通勤手当や家族手当、残業代は対象外…最低賃金の対象となる給与は?
会社員の場合、「時給XXX円」で働いているケースはそうありませんから、知らず知らずに最低賃金以下になっている、というケースもあります。この場合、経営者と従業員で合意していても、最低賃金以下の給料は無効で、最低賃金と同額の支払義務が発生します。また最低賃金との差額は、過去をさかのぼって支払う義務があり、場合によっては罰金が科せられます。
覚えておきたいのは、最低賃金の対象となるが「基本給+諸手当」であること。「通勤手当」や「家族手当」などは対象外となります。
たとえば前出の30代前半(役職なし)の給与(所定内給与額)について、25万円のなかには通勤手当や家族手当などが含まれているでしょう。仮に「①基本給」15万円、「②職務手当」3万円、「③通勤手当」3万円、「④家族手当」4万円だとすると、最低賃金対象の賃金は「①+②で18万円」、「年換算216万円」となります。「年間労働時間が257日」、「1日当たりの所定労働時間8時間」だとすると、「年間労働時間は2,056時間」。最低賃金計算上の時給は1,050円となります。
仮にこの会社が大阪府にある会社だとしましょう。大阪府では月給換算した時間給は1,023円。今回41円の引き上げで1,064円となります。その差は14円。その分、使用者は給与を引き上げ、最低賃金と同額かそれ以上にしないと法律違反になってしまいます(関連記事:『【最新】都道府県「最低賃金」ランキング〈2023年〉』)。
あれ、なんか給料が安すぎる⁉ そう感じたら、実際に計算をしてみてから会社に相談。改善されない場合は、労働監督基準署などの専門機関に相談するのが鉄則です。また最低賃金以下であることが常態化しているなら、その会社は明らかにブラック企業といえます。思い切って転職するのが賢明な判断だといえるでしょう。