75歳以上の10人に1人は「働いている」高齢社会の日本
男性81.05年、女性87.09年。2022年、最新の『簡易生命表』による日本人の平均寿命です。「人生100年時代」なんて、何かのキャッチコピーであり、少々大げさではと思っている人も多いでしょう。しかし本当に「人生100年」を見据えて考えなければならない時代は、すぐそこに迫っています。
2013年に施行した『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)』により、2025年4月からの「65歳までの雇用確保」が義務づけられました。それに伴い、「①65歳までの定年延長」「②65歳までの継続雇用制度の導入」「③定年制の廃止」のいずれかの対応が行われなければなりません。厚生労働省『令和3年高年齢者雇用状況等報告』によると、②の対応が71.9%と、スタンダードになっています。
さらに高年齢者雇用安定法は2021年4月にも改正され、70歳までの就業機会の確保も努力義務となります。今後、少子高齢化に伴う労働力不足の解消のため、70歳までの雇用確保が義務化される可能性も大いにあります。
また定年年齢は変わらなくても、ほとんどの人が70歳まで働くことを選択するようになれば、現状、原則65歳からの年金支給が70歳に引き上げられることも。現在、60歳で定年&現役引退だと年金受給開始まで5年のブランクが生じます。それが10年になるようなことがあれば「いつまで働くか」の決断にも大きな影響を与えることになるでしょう。
そもそも日本の高齢者は、就業意欲が高いことでも知られています。
日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンの各国60歳以上の人に、今後も収入を伴う仕事をしたいか尋ねたところ、日本が40.2%、次いでアメリカが29.9%、ドイツが28.1%、スウェーデンが26.6%。日本の高齢者は圧倒的に就業意欲が高いことが分かります。
実際に働く高齢者は右肩上がりで、日本の労働力人口約7,000万人に対して、「65~69歳」は395万人、「70歳以上」は532万人。日本の労働力人口に対して65歳以上が占める割合は13.4%と、10年で5%近くも上昇。存在感を増しています。
また年齢別人口に対して働いている人の割合は、「65~69歳」で52.0%、「70~74歳」で33.9%、「75歳以上」で11.0%。いまや75歳、後期高齢者となっても10人に1人は働く時代です。