日本銀行による『生活意識に関するアンケート調査』(2023年6月調査)によると「1年前と比べて景気は悪くなった」と回答したのは49.6%、「1年後の景気は悪くなる」と回答したのは32.4%でした。多くの人が希望を抱くことが難しい昨今。さらにすぐ先の将来に、絶望的な未来が待っています。みていきましょう。
〈あと490日〉で訪れる「日本の絶望未来」…「平均給与31万円」の日本人、もうお手上げか? (写真はイメージです/PIXTA)

現役世代の負担感もさらに増加…もう明るい未来は期待できない⁉

話は2025年問題に戻ります。

 

5人1人が75歳以上という社会を前に、どのような問題が起きるとされているのでしょうか。

 

1つ目が人手不足。労働力人口が減少し、あらゆる産業で人手不足が深刻化、人材の獲得競争が激化するといわれています。また後継者不足による企業の倒産も増加。2025年には127万の中小企業が70歳以上の経営者、かつ後継者が決まっていないといわれています。この問題により650万人の雇用と22兆円のGDPが失われるといわれています。

 

そして医療費・介護費の増加に伴う財政の逼迫。厚生労働省によると、2023年、社会保障給付費(予算ベース)は134.3兆円。対GDP比23.5%にのぼっています。その内訳をみていくと、最も多いのが「年金」で60.1兆円。続いて「医療」が41.6兆円、「福祉」が32.5兆円で、うち「介護」が13.5兆円。

 

社会保障給付費は年々増加していますが、それに伴い、一人当たりの社会保障給付費も当然右肩上がりです(図表)。また「65歳以上人口を15~64歳人口で支える割合」は、2020年で2.0人。現在、現役世代2人で1人の高齢者を支えています。今後、2040年には1.6人で1人、2050年には1.4人で1人と、現役世代の負担はますます増していくのです。

 

出所:厚生労働省『給付と負担について』より
出所:厚生労働省『給付と負担について』より

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、日本人の平均給与は月収で31.18万円、賞与なども含めた年収で496.5万円。「失われた30年」といわれているとおり、高齢化が急激に進展したこの30年、現役世代の給与はほとんど変わりませんでした。負担だけが増えてしまった30年だったわけです。

 

*男女計、学歴計、企業規模10人以上

 

迫りくる2025年。もうお手上げ状態の雰囲気も漂いますが、国としては「公費負担の見直し」「医療・介護人材の確保」「地域包括ケアシステムの構築」など、高齢化に伴う諸問題の解決策を示しています。また企業においても定年年齢の延長や多様な人材の積極的雇用などで、労働力不足を打開しようとしています。

 

では現役世代の高まる負担に対しての打開策はどうでしょうか。これに関しては、はっきりいって「負担減」となる可能性はゼロといっていいでしょう。

 

唯一、明るい話題が「わたしたちの給与がいよいよ上昇するかもしれない」ということ。先日、内閣府が公表した『経済財政白書』では、「物価や賃金が上昇傾向にある現状を四半世紀にわたったデフレから脱却する好機」としています。昨今、物価高が先行していますが、いずれ賃金上昇が上回り、物価上昇・賃金上昇の循環は好転。この生活苦からも解放されると期待されます。

 

そこで進めるべきは、自身のための資産形成。今後、現役世代約1人で1人の高齢者を支えなければならない時代が到来します。求められるのは、今まで以上の自助努力。将来の自分を支えるために、コツコツと努力を続けることがますます重要になってくるのです。