(※画像はイメージです/PIXTA)

都会でのサラリーマン生活に疲れ、地方に移住して自然に囲まれながらのんびりと農業をやりたい……そんな思いで一念発起し脱サラ、地方へ移住して農家になる人が近年増えています。しかし、地方で実際に暮らし、農業を始めてみると、理想と現実とのギャップに苦しむ人も少なくはないと、地方移住や2拠点・多拠点生活に関する情報発信メディアを運営する合同会社Stone intechの中嶋遼太代表はいいます。そこで本記事では、そんな失敗に陥らないために、あらかじめ知っておくべき田舎暮らしの実情を解説します。

地方移住して農業に失敗する理由

残念ながら、めでたく地方に移住して農業をはじめたけど、失敗をして農業をやめてしまう人、移住生活に耐えられず田舎を去ってしまう人がいます。移住して農業に失敗するには、いくつかの理由があります。

 

理想と違ってツライ…

「田舎に移住してのんびりとした生活を想像していたけど違った」、「思ってた以上に忙しい」、「景色がいいと思ったけどすぐに飽きた」。こんな話はよく聞く話です。「隣の芝生は青い」とよく言いますが、都会に住んでいると田舎暮らしに大きな期待をしてしまうものです。

 

もちろん、田舎は時間がのんびり流れているし、自然は綺麗で癒されます。しかし、農業をやろうとすると繁忙期は本当に忙しいです。栽培する作物によって違いますが、忙しい時期なんかは景色を見ている暇なんてありません。のんびりなんて、ほど遠い期間は思った以上に多いものです。

 

ただし、上記でおすすめしたようにすでに農業をある程度の期間体験していれば、ギャップをあまり感じずにいることができるでしょう。

 

お金が尽きた…

農業は技術と営業力がないと稼ぐのは本当に大変です。特に有機栽培などをやろうとするとその難しさは1段も2段もアップします。多くの人が有機栽培に憧れて始めるのですが、栽培技術のない状態で有機栽培をやるのは非常にハードルが高いです。そして稼げずに泣く泣く農業から離れて行くのです。

 

また、農業技術をある程度、習得するまでは農薬などを使う慣行農業をおすすめします。有機農業はスキルがアップしてから取り組めばよいでしょう。

 

自分はよくても家族が耐えられなくなった…

家族との話し合いは事前にしっかりとしておきましょう。本人は覚悟を決めて、強い思いを持って移住、そして農業をやろうという鉄の意志があったとしても、当たり前ですが家族がそうとは限りません。むしろ、そうではないことのほうが自然です。

 

そのためには、移住後、いろいろと忙しいとは思いますが、家族の心のケアにも、よく注意してください。一緒にいる時間は多くの場合、増えますので、よくコミュニケーションをとり、大変ですが休みの日は家族サービスをするなど心がけましょう。

 

田舎暮らしの濃い人間関係になじめない…

田舎と都会では人間関係の濃さが違います。行政のサービスが行き届かない田舎では、どうしても近所付き合いが大事になります。ゴミの当番、草刈、地域のイベントなどなど、都会ではなかったさまざまな活動があります。これらの活動を積極的に楽しむ姿勢がないと、なかなか地域に馴染むのが難しいでしょう。

 

特に最初は面倒でも「見られている」ということを意識して、明るく自ら地域の人とコミュニケーションを取るようにするのがおすすめです。農業をやる場合は、地域の方々の協力なくしてできませんので、特に注意してください。

移住計画を立てる際の注意点

ここからは、移住で失敗しないための注意点を解説します。事前に移住前に考えておくことで、それぞれの注意ポイントをクリアして移住を進めて下さい。

 

家族にきちんと相談し勝手に決めない

家族によく相談せずに移住という重要な決定をしてしまうと、移住後にお互い不満がたまってしまいます。きちんと、お互いに理解と納得をしたうえで、移住を決めましょう。パートナーも、ご自身で決めた実感があれば不便や不満なことがあっても乗り切れるでしょう。

 

仕事を先に見つけてから移住する

移住にお金の問題はつきもの。移住前に、仕事を見つけておくと大変安心して移住を決断できます。理想は、リモートで業務ができる職種や会社の雇用が決まること。安定した給与や保障などもあるので、リスクを最小限に抑えることができます。

 

地方には都会と比べて企業も少ないので、求人もぐっと少なくなります。その場合は、起業やご自身で生計を立てる手段を考えなければならず、その土地の暮らしを楽しむことができないかも……。しかし、田舎には田舎特有の、1次産業(農業・林業・漁業)などで働く選択肢があります。人手が足りていない田舎では、歓迎されるとともに、経験としては面白いかもしれません。

 

光熱費が地方によっては倍以上になることも

特に、ガス代が地方によっては大きな差があります。理由は、インフラ面で都市ガスが普及しておらずプロパンガスを利用するケースが多い地域があるから。また、雪国で都市ガスが普及していない場合は、倍以上の費用がガス代だけでかかってくることもあります。地域選び・物件選びの際は特に注意が必要です。

 

お試し暮らし体験をしておく

そのまちで暮らすことを決めるうえで、お試しで移住体験をしておくことをおすすめします。その街のイメージや理想、世に出ている情報だけではなくて、自分の足で確かめて感じたことがすべてです。できれば、1ヵ月滞在すること、そして、夏と冬と2つの季節を体験しておくと失敗が少ないです。

 

たとえば、夏は海沿いで趣味ややりたいことができるけど、冬は寒すぎて風も強いし、車もサビるし洗濯物も潮風で干せない、冬は暇……といったことや、想像以上に雪が降って、寒すぎで暖房も全然効かない、雪かきしなければ車でどこにもいけない……みたいなことが起こる確率をぐっと減らせますよ。

 

 

合同会社Stone intech

中嶋遼太

 

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