正社員化で日本人の給与水準底上げも、拭いきれない手遅れ感
雇用者(平均年齢43.7歳)の平均給与は月収で31.1万円、年収で496.5万円です。一方、正社員(平均年齢42.6歳)に限ると月収で32.8万円、年収で530.5万円、非正規社員(平均年齢50.0歳)に限ると月収で22.1万円、年収で306.4万円。前述のとおり、5年前に比べて正社員が増えていることから、日本全体の給与水準が底上げされることが期待されます。しかし「底上げしたところで、どうしようもない」、そんな諦めの声も聞こえていきます。正社員自体の給与が目も当てられない水準だから、というのがその理由です。
「正社員・正職員」の給与分布をみていくと、最も多いのは「年収300万円台」で20.5%。正社員の5人に1人の水準です(図表)。またさらにそれよりも年収の低い層を合わせると、45.3%にも達します。正社員であっても、半数近くが年収300万円台を下回るというのが現実なのです。
内閣府『国民生活に関する世論調査』によると、2022年、「去年と比べた生活の向上感」は「低下している」が32.6%。前年25.9%から大きく上昇しました。過去15年ほど、同様の質問について振り返ってみると、国民の暮らしぶりはリーマンショック時と同程度の感覚だということが分かります。
【「去年と比べた生活の向上感」に対し「低下した」と回答した割合】
2019年調査:14.1%
2018年調査:13.8%
2017年調査:14.7%
2016年調査:17.5%
2015年調査:18.8%
2014年調査:20.9%
2013年調査:16.8%
2012年調査:22.1%
2011年調査:24.4%
2010年調査:26.7%
2009年調査:33.6%
2008年調査:34.1%
2007年調査:24.5%
出所:内閣府『国民生活に関する世論調査』より
一時、毎日のように「賃上げ」の話題を耳にしましたが、結局、物価高を超えることはできず、生活の不透明感は拭いきれず、さらに聞こえてくるのは「結局は増税」というニュースばかり。この先を見据えても、高齢化はさらに進み、少子化はさらに進行。解決に向けて、現役世代の負担がさらに大きくなることは確実です。将来に希望を抱くことは、今後も厳しいと言わざるを得ないのです。