昨今、問題視されている「闇バイト」。何気なく応募した結果、グループから抜け出すことができずに犯罪に手を染めてしまう、しかも逮捕されるのはいわゆる捨て駒。元締めの検挙率は非常に低いのが現状です。そんな闇バイトに、なぜ若者は応募してしまうのでしょうか。みていきましょう。
捕まえてくれてありがとう…「闇バイト」10人に1人が「生活困窮」で応募「使い捨てされる」若者たちの実態 (写真はイメージです/PIXTA)

闇バイト「使い捨て」されるまでの基本パターン

首都圏を中心に全国各地で発生した広域連続強盗。そのあとも「闇バイト」を起点とした犯罪が後を絶ちません。ゴールデンウィーク明けに起きた東京・銀座の高級腕時計「ロレックス」専門店での強盗事件では、16〜19歳の少年4人が関与したとして逮捕されました。

 

警視庁『犯罪情勢統計』によると。2022年に刑法犯認知件数は60万1,389件と、前年から5.9%の増加。また闇バイトの典型とされる「特殊詐欺」の認知件数は1万7,520件と2年連続で増加し、被害総額は約361億円と8年ぶりに前年比増加となりました。

 

闇バイトにおいては、若年層が犯罪に手を染めるケースが多く、2022年に詐欺罪で摘発された793人のうち、10~20代が63%を占め、なかには中学生や高校生が逮捕されるケースも。

 

愛知県警千種警察署が管内の高校生1,000人を対象に調査を行ったところ、「闇バイトの募集をネット上で目にしたことがあるか」の問いに対し、男子高校生500人のうち6%が「ある」と回答。また「闇バイトに誘われた経験があるか」に対しては2%が「ある」と回答しました。実に50人に1人の割合。子どもたちを「闇バイト」に関わらせないためにも、大人たちもしっかりとその実態を知る必要があるでしょう。

 

警察庁『犯罪実行者募集の実態』によると、闇バイトの応募から検挙されるまで、以下①~④がよくある基本パターンだといいます。

 

①自らSNSで「高額報酬」等を検索・応募

②犯行グループから連絡が入り、以降、匿名性の高いアプリでやりとり

③犯行グループに言われるがまま個人情報を送信

④犯罪行為への加担を拒否すれば犯行グループが個人情報を基に脅迫

 

まず募集に関してはSNSなどで「高額報酬」「闇バイト」と自らが検索して応募するケースが多い一方で、先輩・友人・知人に誘われるケースや、SNSで知り合った相手から誘われるケースもあるとか。

 

そして「犯行グループとのやりとり」は、TelegramやSignalなど、一定時間が経過すると通信履歴が消去されるなどの機能を有する匿名性の高いアプリを強制的にインストールさせ、以降の連絡もこのアプリを使って行うように指示されます。このような指示があった時点で、犯罪に巻き込まれると考えておいたほうがいいでしょう。連絡を取り合うなかで、身分証明書と一緒に自身の顔写真を送信するよう指示されたり、家族や交際相手の個人情報を送信するように指示されたりと、言葉巧みに個人情報を要求されます。

 

個人情報を送信すると、犯行グループから仕事の詳細が伝達され、ここで明らかな犯罪行為であることに気付くそうです。犯罪への加担を拒否すると、送信した個人情報を基に脅迫。

 

・自宅に押しかける、母親から狙うと脅された

・逃げたらこうなると、男が殴られる動画が送られてきた

・実家に押し掛けられた

 

脅迫等の結果、犯罪に加担せざるを得なくなり、犯罪行為を重ねていきます。しかし

 

・犯行グループにだまされ報酬を得ることができなかった

・犯行グループに密告され逮捕された

・(犯行グループから離脱した制裁行為として)「詐欺加担者」として顔写真等の身分証明書をSNSに投稿された

 

など、結局、逮捕されたり、犯罪グループから抜けたいと言えばポイッと使い捨てされる……ここまでがお決まりのパターンというわけです。