抱っこをすると反り返り、お布団に置くとまた反り返る…赤ちゃんが頻繁に反り返ると、もしかして発達障害ではないかしらと心配するお母さんお父さんも多いようです。そこで、赤ちゃんの反り返りの原因や対処法について、小児のリハビリに長年取り組んでこられた理学療法士のまつおさんにお話をうかがいました。
発達障害かも⁉「反り返り」が強い赤ちゃん、原因と対処法【小児理学療法士が解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

 

気をつけてあげたい「反り返り」

反り返りがどのくらい強ければ注意が必要なのか、個人差もあるため客観的に判断するのは困難です。しかし、感覚的には抱っこがしにくかったり、育てにくいと感じたりするようであれば、異常な反り返りの可能性があります。

 

反り返りがとくに強い子どもは、ハイハイをしなくなる傾向があるようです。背中の筋肉の緊張で足が突っ張っているので、すぐにつかまり立ちが始まり、早く歩き出す子どもが増えています。早く歩き出すのはよいことのように聞こえるかもしれませんが、基本的に人はそれぞれの発達段階を経て成長するようにできています。ハイハイをしないと肩の筋肉が発達せず、姿勢保持能力が育ちにくいことがあり、その結果、学校へ上がったときに授業中じっと座っているのが苦手になってしまう可能性があります。

 

一方、病気の可能性がある反り返りもあります。体の緊張が非常に強くなる脳性まひや、感覚が過敏な自閉症などの発達障害では強い反り返りが起こります。もっとも、反り返りが起こる月齢で発達障害を診断することは難しいので、反り返りが強かったり、丸い抱っこをしてあげても治らなかったりということがあれば、気に留めておいてあげてください。

赤ちゃんの反り返りの対策法は?

赤ちゃんの反り返りは、病気が原因でない場合であれば、抱っこの仕方と日常的な姿勢である程度抑えることができます。体を伸ばす筋肉が発達するのは生後3ヵ月から4ヵ月くらいからなので、それまでは丸い姿勢を作ってあげましょう。

 

反り返りの対処法①:まんまる抱っこをしてあげる

ある程度首が据わるまでは縦抱きはせずに、赤ちゃんの体が丸くカーブするような横抱きの「まんまる抱っこ」をしてあげましょう。まんまる抱っこの仕方はインターネットなどでもたくさん紹介されているので、ぜひチェックしてみてください。

 

反り返りの対処法②:平らなところで寝かさない

たとえば、布団の上にタオルで丸を作ってその中に赤ちゃんを寝かせるなど、体が丸くなる工夫をしてあげてみてください。「Cカーブベッド」と呼ばれる角度のついた市販のベッドもありますので、利用してみるのもよいでしょう。

 

反り返りの対処法③:体をいっぱい触ってあげる

背中の感覚が過敏な赤ちゃんは、毎日背中をたくさん触ってあげると、ある程度感覚過敏を和らげることができます。

 

赤ちゃんが反り返るのは自然なこと

インターネットなどをみると、反り返りが悪いものであるとか、発達障害に関係があるといった情報がたくさんありますが、反り返りは赤ちゃんの自然な動作です。そのため、それほど神経質になる必要はないと思います。

 

それよりもむしろ、なぜ赤ちゃんは丸い姿勢がよいのか、何が反り返りの原因なのかをよく知って、赤ちゃんが丸い姿勢で過ごせるような工夫をしていただければと思います。

 

【話を伺ったのは】

まつお/小児理学療法士、児童発達支援管理責任者

一般病院での勤務ののち、約10年に渡って小児のリハビリに従事し続けている。その経験に基づき、赤ちゃんの発達に関する情報をSNSで発信中。