岸田首相の「退職金大増税」に対して、多くの反対意見が寄せられていますが、実際、定年を迎えたサラリーマンは、どれほどの退職金を受け取り、いくらくらい税金を払っているのでしょうか。みていきましょう。
平均月収50万円…60歳・勝ち組サラリーマンでも「退職金、少なっ!」の残念な結末 (写真はイメージです/PIXTA)

転職サラリーマンの退職金はいくらになるのか?

さらに勤続年数ごとに標準退職金の支給額についてみていくと、増加幅では勤続25年(1393.8万円)と、勤続30年(1915.4万円)で増加幅が大きくなっています。

 

【退職金の支給額および支給月数】

勤続3年(25歳):69.0万円(2.8年)

勤続5年(27歳):118.0万円(4.3年)

勤続10年(32歳):310.2万円(8.8年)

勤続15年(37歳):577.9万円(13.7年)

勤続20年(42歳):953.1万円(18.8年)

勤続25年(47歳):1393.8万円(24.7年)

勤続30年(52歳):1915.4万円(32.0年)

勤続35年(57歳):2364.9万円(39.3年)

勤続38年(60歳):2528.0万円(44.6年)

 

出所:中央労働委員会『令和3年賃金事情等総合調査(確報)』

※数値、左より退職金額(支給月数)

 

厚生労働省の調査によると、大卒サラリーマンの50代後半の平均月収は50.6万円。大学卒業以来、「我が社ひと筋」という人であれば2,250万円程度の退職金が見込まれることになります。

 

しかし、学卒以来“1社だけ”というのが稀になった昨今、これだけの退職金を手にする人も稀だと考えられます。仮に50代になって転職してきた人なら445万円、40代に転職してきたという人なら950万円、30代になってからの転職であれば1,600万円程度の退職金になる計算。また大卒サラリーマンの平均勤続年数は13.5年であり、そこから考えると、実際に定年時に受け取る退職金は700万円程度(勤続15年で計算)というサラリーマンが多いのかもしれません。

 

また700万円程度の退職金でも、勤続15年であれば50万円に課税され手取りは692万円ほど。8万円ほど税金で引かれます。「(少ないと分かっていたが……)退職金、ほんとに少なっ!」と思わず、声にしてしまいそうです。

 

長い会社員人生のご褒美として手にする退職金ですが、転職をしていれば、当然、「退職金2,000万円なんて無理」ということは分かりきったこと。しかし優遇されているとはいえ、ご褒美から税金を引かれると少々残念な気持ちになるもの。さらに増税となれば……反発が大きいのも頷ける話です。

 

ーー岸田さん、ほんと、やめて!

 

サラリーマンたちのなんともいえない悲鳴が聞こえてきます。