本連載は、NPO法人ライフデザインセンターの編著、『旅立ちのデザイン帖―あなたらしい“終活"のガイドブック』(亜紀書房)の中から一部を抜粋し、「終活」に向けた各種の生前準備についてご紹介します。

記憶をたどり、これまでの人生をふりかえる

あなたはだれですか? なにをする人ですか? いままでなにをしてきましたか? だれと出会い、どんな別れがあったでしょう。楽しいことも、うれしいことも、悲しいことも、苦しいこともあったことでしょう。

 

これまでの人生でどんなことを考えてきたでしょう……そんな人生を、いまここで、ふりかえってみませんか?

 

まず、いままでの人生をふりかえるために、「人生の履歴書」を書いてみることをおすすめします。一般的な履歴書は、学業や職業の経歴などを記した書類で、就職や転職の参考(基本情報)として用いられます。しかし、「人生の履歴書」は、あなたのこれからの生き方と、訪れる旅立ちの日に向けて「こうしたい」という意思を正確に伝えるために必要な基本情報です。

 

「人生の履歴書」には、生年月日、出生地、名前とその由来、血液型などを書き込みます。ご両親のことや兄弟姉妹のこと、そして、あなたの自己紹介も、気どらず、気負わずに書いてみましょう。記憶の糸をたぐりながら、自分の人生を思いかえしてみてください。思い出があふれてきたら、次の段階に進んでください。

 

幼いころの思い出、父母とすごした四季の風景などが、あらためて脳裏に浮かんでくるはずです。このように、小学校・中学校・高校と順を追って思い出してみると、忘れられない出来事、夢中になったクラブ活動、あこがれた人、そして受験勉強……などの出来事がよみがえってきます。ほろ苦いシーンを思い出すかもしれませんね。でも、それも大切な人生の一幕です。

 

同じように、学生時代のこと、社会人になってからのことも書いてみてください。出会い・恋愛・プロポーズ・結婚、ご家族を支え、家庭を切り盛りした時代の悲喜こもごも、子どもや孫たちのこと、そしてリタイアしたあとのこと……。

 

それらはあなたの人生そのものです。つらいこともあり、書きにくいこともあるかもしれませんが、無理をしないで、それでも、できるだけ正直に、正確に、自分の「来し方」を見つめながら書くことをおすすめします。

「人生の履歴書」には今後のプランも記入する

「人生の履歴書」を書いてみると、ときとして、「あのとき、ああしていれば」という悔いを感じることもあると思います。それは仕方ないことです。悔いるだけでなく、そのことを糧(かて)にして、これからの人生を有意義にすごしていくことが大切ではないでしょうか。

 

履歴書は過去のことを書くものですが、「これからわたしがやりたいことを書いていく」という未来に向けた意欲を持って、人生の履歴書の新しいページを開くことも重要です。そうすれば、残された人生のなかで、生きる意味や意義が必ず見つかり、充実した生活を送ることができるでしょう。

 

「人生の履歴書」を書くことは、これまでの人生を整理しながら今後の人生のプランを立てるための導入としても、その意欲づくりのためにも役立ちます。

 

以下が「人生の履歴書」の目次例です。

 

「人生の履歴書」目次例

●父母の思い出と感謝の言葉
●祖父母の思い出と感謝の言葉
●幼稚園・小学校・中学校〜楽しかった思い出
●高校・大学でのさまざまな思い出
●同級生・恩師の思い出
●伴侶との出会い・交際・結婚の思い出
●仕事のこと
●子どもたちのこと(出産・名前の由来・学業・就職)
●ご家族のこと(家族旅行・イベント)
●退職・社会活動など

 

目次例をもとに、あなたの「人生の履歴書」を書きはじめてみましょう。履歴書は箇条書きの年表形式でかまいません。それぞれの思い出に残る写真を添えてみるのもいいでしょう。

旅立ちのデザイン帖 あなたらしい“終活"のガイドブック

旅立ちのデザイン帖 あなたらしい“終活"のガイドブック

NPO法人 ライフデザインセンター

亜紀書房

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