(※写真はイメージです/PIXTA)

白内障はいずれは誰もが発症する目の病気です。「高齢者だけがかかる病気」と思われがちですが、実は50歳代で約半数が発症しており、白内障のタイプによっては10~30歳代のうちに発症する場合も…。身近な病気でありながら意外と知らない白内障について、眼科医・中原将光氏が解説します。

白内障の約9割は「加齢」が原因

白内障には、いくつかの種類があります。発症原因で分けた場合、加齢以外にもさまざまな原因があります。

 

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●加齢性白内障

白内障の約9割は加齢によるもので、このタイプを「加齢性白内障」、または「老人性白内障」といいます。

 

●併発白内障

アトピー性皮膚炎や糖尿病、緑内障、ぶどう膜炎など、ほかの病気が影響して起きる白内障のことです。アトピー性皮膚炎では、目のかゆみでこすったり叩いたりすることから水晶体が傷つき、白内障になることがあります。また、緑内障では、瞳孔を縮める副交感刺激薬を長期間使用している影響で、白内障を起こすことがあります。

 

原因となった病気ごとに、「アトピー性白内障」や「糖尿病性白内障」といったりもします。併発白内障は、10~30歳代の若年層にも発症し、その場合には「若年性白内障」とも呼ばれています。

 

●先天性白内障

生まれたときから発症している白内障のことです。視力の発達に関わるため、早いうちに手術治療を受けることが大切です。

 

●外傷性白内障

目のケガや打撲などが原因で、水晶体が傷つき白内障になることがあります。

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手術に適したタイミングは、白内障を引き起こした原因によっても変わってきます。いずれにしても視力を守るには、日頃から目を大切に扱う、ということが大切です。

「濁る場所」が違うと、現れる症状も違う

また、加齢性白内障の場合には、水晶体のどこが濁るかによっても、現れやすい症状が変わってきます。水晶体は、中心にあたる「核」、その周辺にある無色透明の「皮質」、それらを包む「嚢(のう〔前嚢・後嚢〕)」で構成されています。卵に例えると、核が黄身、皮質は白身で、嚢が殻ということになります。白内障は、この黄身、白身、殻のどこが濁るかによって、大きく3つのタイプに分けられます。

 

①水晶体の白身が濁るタイプ

割合として最も多いのが、水晶体の周辺にある皮質から濁り始める「皮質白内障」です。図で描くと、くさび形に濁ってくるので、初めのうちは見えづらさなどを感じにくく、症状を自覚しにくいのが特徴です【図表】。進行すると、周りにある濁りが中心にかかってくるので、瞳孔が閉じるような明るい場所でまぶしい・見えにくい、夜間の運転中に対向車のライトがまぶしい、霧がかかったように見えるなどの症状が増えてきます。

 

【図表】皮質白内障

 

②水晶体の黄身(核)が濁るタイプ

次に多いのは、水晶体の中心の核が濁ってくる「核白内障」です。もともと近視の強い方、網膜剥離などの硝子体手術を行ったあとの方などに起こりやすい白内障です。

 

このタイプは、核が硬くなって水晶体の屈折率が変わるので、近視がどんどん強くなっていきます。老眼のある方では、一時的に手元が見えやすくなるため、なかには「老眼が治った」と感じる方も少なくありません。しかし、これは一時的な症状で、そのうちメガネの度数を上げても視力が出せなくなってきます。

 

色の判断がつきにくいのも特徴的な症状です。白内障が進行してくると、核が、だんだん茶色味がかってくるため、以前よりも視界が黄色っぽく見えるようになります。ただ、ゆっくりと時間をかけて変化していくので、気づかない人もいます。

 

③水晶体の殻(嚢)が濁るタイプ

水晶体は、「嚢」と呼ばれる薄い膜で覆われています。前側の膜が濁る「前嚢下白内障」は、アトピー性皮膚炎の患者さんによく見られるタイプ。一方、後ろ側の膜が濁る「後嚢下白内障」は、頻度は高くありませんが、糖尿病やステロイド薬の長期使用が原因で起きる白内障でよく見られます。後嚢下白内障は、光を受け取る網膜側が濁るので、比較的早く視力低下の症状が現れます。「明るいところでまぶしさを強く感じる」「急に視力が低下した」というような症状があれば、注意が必要です。

 

目で捉えた光が水晶体を通過するとき、その面積の広さは瞳孔の大きさに比例します。

 

光が通っていない部分の水晶体が濁っていても、視界への影響は少なく、この時点では自覚症状はほとんどありません。光が通っている部分が濁ったときに初めて「視界がかすむ」「見えにくい」という自覚症状として現れます。光が乱反射するようになれば「まぶしい」と感じるようになります。白内障の症状が、進行度や濁る場所によって変わってくるのは、このような理由からです。

 

 

中原 将光

中原眼科 院長

※本連載は、中原将光氏の著書『最高の白内障手術』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

スゴ腕サージャンが解説!最高の白内障手術

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中原 将光

幻冬舎メディアコンサルティング

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