「円安ドル高」の要因と「為替介入を行うか」の判断基準
昨今の円安ドル高の要因は複数指摘されていますが、最も大きいのは、アメリカと日本の「金利の差」であるといわれています。
為替相場は通貨間の需給関係によって決まります。ここまで円安ドル高が進行している原因は、ごく単純化して表現すれば、「円」の魅力が低下し、「米ドル」に魅力があると考えられていることにあります。
アメリカにおいては、現在、「利上げ」が進行中です。これに対し、日本は「マイナス金利」がずっと続いています。そのなかで、「円よりも米ドルを持っていた方が有利だ」と判断されているのです。
すなわち、2020年から続いた新型コロナウイルス禍の下、アメリカの中央銀行であるFRBは金融緩和を行いました。その結果、景気の回復とともに急激なインフレが発生したため、インフレ退治のため「利上げ」が相次いで行われてきました。2023年6月は久しぶりに利上げが見送られましたが、FRBのパウエル議長は、6月28日の会見で、7月以降の利上げの可能性を示唆しています。
これに対し、日本においては、長年にわたり一貫して「マイナス金利政策」が継続されてきました。2022年12月に長期金利の上限が「0.25%」から「0.5%」に引き上げられ、2023年4月に日銀総裁が黒田東彦氏から植田和男氏に交代したことで「政策転換か」という見方も一部にありましたが、結局、日銀は金融緩和を継続する路線を踏襲しています。
為替介入は、為替相場の急激な変動を抑える効果があります。しかし、一歩間違えば、相場操縦と同じ効果をもたらす可能性があります。大ざっぱに表現すれば、国が「FX」を行うのと同じになってしまうリスクがあるということです。
また、効果がごく一時的なものに留まったのでは、あまり意味がありません。
したがって、介入の必要性、タイミング、規模を判断するのに際しては、きわめて高度な政策的判断が要求されるといわれています。
前述のように、今回の「円安ドル高」は、もともとは国の政策の違いに起因するところが大きいものです。もし、そこに、投機筋の動きが絡んで加速しているのだとしたら、どこまでが「政策」による不可避なもので、どこからが「投機」によるものなのかを見極めるのは困難であり、高度な判断が要求されます。
実際、前回の2022年10月の為替介入の効果の是非については、有識者の間でさえ評価が分かれました。
鈴木財務大臣は、6月30日の会見で、「行き過ぎた動きに対しては、適切に対応しなければならない」と述べました。これは為替介入の実施に含みをもたせたものといえますが、もし為替介入に踏み切る場合、現状を的確に分析したうえで、タイミング、規模等を慎重に判断することが求められます。
税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは
【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討
【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成
【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える