本当に日本人の「労働時間」は減少しているのか?
日本人の平均労働時間の低下にひと役買っている「パート・アルバイト」の増加。実際に日本人の働く時間はどう変わったのか、厚生労働省『毎月勤労統計調査』で最新の2022年と、その20年前の2002年とを比較してみていきましょう。
まず、一般労働者とパートタイム、そもそもの人数ですが、一般労働者は、2002年3,365万5,696人から、2022年3,511万9,640人と4.3%増加。一方でパートタイムは、947万1,680人から1,622万2,566人と、71.3%も増加しています。
では労働時間の変化をみていきましょう。一般労働者は、全労働時間が2002年168.1時間から162.3時間へ減少。所定内労働時間、出勤日数は5%程度減少しているものの、所定外労働時間は2割ほど増加しています。トータルで3.5%ほど、働く時間は減っています。
パートタイムは、全労働時間が95.1時間から79.6時間へ減少。所定内労働時間、出勤日数に加え、もともと少ない所定外労働時間も減少。トータルで16.3%も働く時間が減っています。
◆一般労働者
総実労働時間:168.1時間→162.3時間(96.5%)
所定内労働時間:156.5時間→148.5時間(94.9%)
所定外労働時間:11.6時間→13.8時間(119.0%)
出勤日数:20.6日→19.4日(94.2%)
◆パートタイム労働者
総実労働時間:95.1時間→79.6時間(83.7%)
所定内労働時間:92.8時間→77.4時間(83.4%)
所定外労働時間:2.3時間→2.2時間(95.7%)
出勤日数:16.9日→13.8日(81.7%)
※(かっこ)内は2022年、対2002年比
この20年ほどで、正社員等は多少、働き方に変化はあったものの、それほど大きく変わったとはいいにくいもの。一方で、パートタイムについては人数そのものが大きく増えたうえに、労働時間は各項目で平均時間が減少しました。数が増えたうえに、量も減少したことが、日本人の労働時間減少に大きく貢献したといえそうです。
この20年で、女性や高齢者など、気軽に“働く”ことができるようになり、それだけ働き方の多様性が広がったといえそうです。一方で、近年、至る所でいわれている「働き方改革」。長時間労働の是正など、どこも神経を尖らせていますが、実はそれほど改革は進んでいない、といえます。
もちろん企業によって、業界によって、働き方改革の成果が出ているケースも。しかし長時間労働が常態化している業界、会社も珍しくなく、一層の努力が求められます。